エドワード親書 2005年6月号 |
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オペラプラザ福岡主催 ミュージカルオペラ『魔笛』福岡公演 2005年6月26日 城南市民センター |
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まず、お客様の楽しいご様子、あの終演後の拍手がすべてを物語っていると思います。 何でもそうでしょうが、オペラ公演のためにはやってみようという制作者がまず必要です。制作者なしでは何も生まれませんから。その上で、参加者、舞台スタッフ、指導者が必要になってくるのです。制作者の苦労は皆さんもご想像できるでしょうが、自分でオペラなどの大変な事業を実際に制作した者でしか分からないところもあります。お手伝いだけならまだしも、誰が好き好んでこのような大変な仕事の責任者になりたいでしょう?でも、自分のいろんな葛藤や周りの声のバランスをとりながら、成功に導いた制作者の達成感も素晴らしいものがあるでしょう。こうして困難を乗り越えてはじめて、人間は素敵になってゆくのでしょうね。外からしか見ないような寂しい人は、この関係者にはいないでしょうが、一般に人間はついひがみがちです、しかし、そんな人も仲間に入れてあげられるだけの、私達の愛の許容量をこれから育てていきましょう。今回の特色は、制作者が一人で頑張ってると言うより、参加者の殆どすべてが、制作に拘わって協力したことでしょう。みんなで一丸となって作り上げた舞台、という感じかな。みんなよかったね。 というわけで、福田英津子さん、おめでとう!(お疲れ様はここでは言いません) 福々コンビを組んできたもう一人の制作者、福井智絵さん。仕事仲間としてはまだまだヒヨッコの前くらいかも知れませんが、皆に見えないところでも頑張っていました、ご苦労様。これからもお母様の助手として、大きく成長してください。ダーメという大役に大挑戦したわけだけど、最終的には前回のチャバをかなり超えられたね、おめでとう。 松岡志功さん。我らがホープ、マッチャン王子様。体調、回復してくれて本当によかった。タミ−ノの大変さも歌ったものにしか分からないものがあります。不安を乗り越えてこの2回公演、よくこなしました。みんなもお客様も充分喜んでくれていることと思います。今回この最難役にチャレンジして、自分のあるべき発声の方向も見えてきたんじゃないかな。またアドバイスします。 ザラストロ松岡良彰さん。存在感のある立派な声のザラストロを演じてくれました。僕とはポルトガル公演の秀吉役で参加してもらって以来、久しぶりでしたね。イタリアオペラに慣れられ、深い声にますます磨きがかかったなあ、と感じていました。あとは当会のいつもの標語、「深々と軽々と」歌ってみる面白さを楽しんでくれると更に嬉しいな。またね。 パミーナの村上京子さん。ファンキーなキャラでみんなと馴染んでくださり、微笑ましく見ていました。ピアノを貸してくださったり、私の鈴まで修理してくださり恐縮しています。いい仲間ができたとみんな感じているでしょう。あこがれの?このお姫様役、いかがでしたか?沢山のアドバイスはできなかったけど、要点は掴んでくれたことと思います。 もう一人のパミーナ姫、福田真央さん。大チャレンジだったね。ま、選んだのは僕だから必ずできるように導く覚悟だったよ。音楽的なセンスはいいから、今は発声法の確立が大切、体全体をバランスよく使って響かせること、これがすべて。さあ、これから大きな花を咲かせるよう導くのが僕の仕事であり、真央さんの仕事でもあります。長いスパンで成長してゆこう。 夜の女王の前田奈緒さん。別名、エイリアン。あなたの独特なキャラクターがどれだけみんなを和ませたか……。この有名な超高度な難役、きちんとレッスンしてあげられなかったことが少し悔やまれますが、さらに見事な女王が歌い演じられるよう導きます。「忘れられた少年」のマルチノ少年の波佐見公演、ポルトガル巡演が待っているし、レッスンする約束は守ります。エイリアンよ、いざ勝負! モノスタトスのブッチーこと田淵好隆さん。みんなの心配をよそに、どうどうと歌い演じられ、呆れるばかりの度胸というか、怖さ知らず。たいしたものですね。この難しい役をあそこまで歌い演じたのですから、大きな拍手を送りたいと思います。それに一般のお客様を喜ばせることについては、かなりのものでした。次は、音符に対して謙虚に学び直され、「忘れられた少年」の波佐見・ポルトガル巡演でさらなるご活躍を! パパゲーナの熊谷智子さん。誰もがぴったり、と思ったことでしょう。こんなに可愛くて、老婆もあんなに楽しんで遊んでくれて、どんなにお客様が喜んでくれたか…… 、誇らしくさえ思います。歴代のパパゲーナの中でもピカイチでした。僕の即興的な動きや台詞にも即応してくれるので、とてもやりやすかったよ、アリガトウ。 ダーメの瀬利裕子さん。1年前のホーデルに比べ、精神的にも発声技術においても著しい成長を感じています。演技を楽しめるようになってきたのがはっきり分かっていました。 藤崎美恵子さん。迷うことなくダーメに選んだのは、普段のお人柄がダーメ、というわけでは決してありません。演技力で自分とかけ離れたあのダーメを演じてくれるであろうと、見込んだからです。多分。いや、それにしてもみんなを、よくひっぱってくれました。ダーメの役は非常に遣り甲斐もあるけど、当然ながら大変な役です。声も随分安定してきたし、これからが本当に楽しみ。いつまでもお手柔らかにお優しく、ね。 今回忘れられない存在となった国松一家。その長老である?ゆり子さん。声が比較的しっかりしているのである程度安心していられたのと、演技に全力をかけてくる姿がとても微笑ましかった。姉御としてみんな指導?している様子も忘れられません。全体に少し硬いので、今後は、自分の目線に気をつけながら、型に嵌らないでも自由にその感性を発揮できるよう導きたいと考えています。 妹の亜樹子さん。お姉さんと並んでなかなかの「座右銘」ですね。ぼくにもぴったり、かな?不可能はない、というナポさんの気持ちがよーく分かるようになって、ぼくも、「不可能」と世の中で思い込まれていることを、可能にすることがだいだい好きなのです。そのために、自分を知り、人を知り、社会を世界を知って、抱きとめたくなって、こんなことをしているのですね。歌の世界も無限、これからもいろんなもの、叩き割ってゆきましょう!でも、お母様や、そのままで美しい存在であられる方々にはナデなでしようね。 ソノお母様、国松洋子さま。素晴らしいお嬢さんを持たれ、ご家庭でのご苦労のご様子が目に見えるようでございます。ご心配なく、ここではやる気がすべて、です。お嬢様たちにご遠慮なさらず、思い切り羽ばたいてください、ここはそんなプラザ(広場)なのです。何しろ、監督があの調子ですから、もう怖いもんなくやり放題!でも、優しい?お母様の愛があるからやり放題、できるんですけどね。わかるかな、みんな? 桑原知恵子さんのクナーベ。ヴィヴラートを取り、正しい音程でこの役を歌うためには、恐らく大変な努力をなさったことでしょうね。子供達には任せられないこのパートをよくここまで歌いこなしてくれました。とても嬉しいです。同世代の皆さんをも大いに励まされたのではないでしょうか。これからも精進を続けてくださいね、もっともっとよくなりますよ。 同じくクナーベを歌ってくれた鍋田美子さん。海を目前にした素晴らしい生活環境が僕 男性人で大いに活躍された大塚尚さん。武士と僧侶。アンサンブルには慣れていらっしゃらなかったでしょうが、今回新たな歌の楽しみ方を味わって頂けたでしょうか?演技やメイ台詞(博多ベン)も忘れられません。はじめは真面目なだけに見えそうな印象でしたが、案外ファニーなキャラクターで、皆さんを大いに楽しませてくださいましたね。大活躍おめでとうございます。宗像公演では、さらに磨きをかけて頑張りましょう! 同じく森山拓君。大分に行ってもよく通ってきてくれました、大変だっただろうにね。 もう一人の新人テノール横川純一郎君。遅れて参加してきたのに、すっかりみんなに馴染んでくれて嬉しかったです。大塚、森山、両先輩?に負けず大活躍でした。いかにも合唱をやってきたテノールの発声で面白かったけど、これからは一皮二皮、そして三皮と剥けて、思いっきり歌い演じられるテノールを目指してね。楽しみだよ。 男性陣では最後の下山雄司君。クリスマスコンサートでは、照明。今回はテノールなのにバス役。いろいろチャレンジしてるね。そろそろ歌を、全身で楽しんでみないかい?学生の間こそできることは、何でもやってしまおう。折角の出会い、活かすも死なすも君次第。この次の変身を楽しみに。 われらが三猿の海老沢千恵ママ。イヤー、頑張ったね。春花プリマとともに練習にもよく出てきてくれて、あのキカザルをあんなによく工夫して遊んでくれました。歌の方はあまりよく見てあげられなかったので、この次は歌で表現する楽しみをさらに味わってもらおうと思っています。春花ちゃんについては、もう最高!みんなの目が釘付け、になってしまいました。本番でもそうでしょう。これからも親子共演を!皆で期待しています。 オペラプラザ福岡の発起人でもある、井崎未麗さん。本番が近づいて、だんだんサルになってゆく様子が面白かったです。これからもスケジュールをうまく調整し、三人で(三匹で)大いに練習し、はじけて下さい。ところで、サルは普段の未麗さんと、そんなに違うキャラだったかな? もう一人のサル、中村弥由貴さん。演技における集中力がいつも気持ちよかったよ。今回はいくつもの公演が重なって、練習には充分参加できなかった面もあったけど、舞台ではいつも通り輝いていました。やはり、やる気、がすべてだね。話し声がよく当たっているので、これからは歌にもそれが応用できるよう、練習してゆきましょう。まず、そう、呼吸です。 天使のリーダーをやってもらった小川愛ちゃん。この次は子供達だけのシーンを作ってもっと工夫したいと考えています。のびのびと思い切りこれからも!そうだね。 高野祥子ちゃん。一年前のアナテフカから背も随分伸びて、大きくなった、かな?だんだんこうして、レディになってゆくのかなあ?素敵な大人にね。 土屋遥香ちゃん。だんだん茶目っ気たっぷりの表情になってきてたね。でも、考えたら子供達とはゆっくり話す時間なんてほとんどなかったね。ごめんね、今度は一緒に遊ぼうね。海がいいナーー?(自分の都合だけど) 大澤咲希ちゃん。自己主張が上手なので、びっくりすることもありますが、これからものびのびと、ただのびのびと羽ばたいて下さい。 そして藤沢一家。銀河君、格好よくいたいかい?コツを教えます。格好悪くても泥ま 合唱で参加された本房佳世さん。直接アドバイスできる機会は少なくてごめんね。でも、みんなの練習風景を見ていて、いろいろ勉強していることだろうと思っていました。オペラの奥深さは無限、といってもいいもの。えらそうにしたかもしれませんが、僕も初心者のようなものです。何事も決め付けることなく、赤ん坊の眼差しで向かってゆきましょう。 吉田久子さん。あまり練習に出られなかったのは残念ですね。初心者の皆さんは練習がすべて。この次は、是非練習に前参加を目指してください。きっともっともっといろんな面白さが見えてきますよ。お客様の目は吉田さんに集まっています、お忘れなく。 さて、わが愛する伴奏人。面白い方ばかりでしたね。代表格の広畑啓子さん。B型かい?と聞いたらショックを受けていたようでしたね。それだけ、マイペースの面白さを漂わせていた、ということです、悪しからず。音楽的には、まあまあ安心して?いられましたが、呼吸をもっと深くするとさらに安定したテンポ感で演奏できるよ。
フルートのバスカーさん。辻音楽師はいいですね。アマチャの皆さんがここまで歌い演じられるのに驚いていらっしゃいましたが、プロもアマチュアのようなもの、いつも初心に戻って全力で練習しましょう。 こうして、ざっと振り返って参加者の皆様のお顔を思い出しました。いろんな雑音が飛び交う中、オペラという総合芸術を舞台に乗せて、それを継続してゆく、ということはどんなに素晴らしいことか、と僕は思います。まして、台本、主演、音楽監督、演出、舞台監督のすべてをやってゆく、こんな変わった監督の指導で、常識の塊のような音楽界や、その既得権にすがり付いて生きている音楽家を相手にして活動し続けるのも、制作者のその気苦労たるや計り知れません。
追伸 パパゲーノを忘れていました。エドワードはパパゲーノそのもの、という噂が流れていたようですが、それは違います。パパゲーノがエドワードにそうさせるだけです。だからパパゲーノはエドワードそのもの、なのです。同じか?アリャ? |