エドワード親書 2005年12月号
12月のふたつのコンサート
12月4日、江迎インフィニタスでのクリスマスコンサート。

忘れられた少年を1時間にまとめて、衣装や大道具は使わずに上演しました。
結果的には各地から30名以上が参加したので、かなりうまくまとめられたように思います。何といっても100回以上積み上げてきた歴史?を感じます。長崎県民のオペラとして根付いてきているのを実感。参加者、支援者の皆様、ありがとう!

現代は、癒やし系やお笑い系が求められることが多いと思うのですが、このオペラは厳しい内容であるにもかかわらず、もっと深く皆様を癒やすことが出来れば、と作られた作品です。どんどん一人歩きを始めてくれるといいですね。

衣装を黒だけに統一したのも良かったと思います。
合唱が良くなってきているのは、今回も同じ感想ですが、油断は禁物。音程やリズム、言葉、フレーズにはもっともっと集中して歌いましょう。中山さんをリーダーとする長崎からのカトリック滑石教会合唱団の皆様、大活躍有難うございます。

今回やや変則的な形にしましたが、少年役ソリストもそれぞれ頑張ってくれました。安弘朋子さんのマルチノ、声もかなり伸びるようになってきていて、立ち姿も凛々しくステキだった。ミゲルの井元麻代さんもずいぶん良くなったと感じています、頑張ったね。マンショの須藤智美さん、アナテフカからどんどん成長され、今後が楽しみです。中村みゆきさんのジュリアンは、今高音を開発中で、発声を鍛えることに集中しています。もともとやる気に溢れた、舞台に生きるという感じのミユキさんなので、今後を暖かく見守りたいと思います。廣田姉妹には今回も遂に大活躍の場が与えられてしまいました。梓さんにはコンスタンチノ・ドラードという役で少年の一人に入ってもらいましたし、茜さんにもコーラスのみならずソリストの代役としても力を出してもらいました。そして、ポルトガルでも活躍のお父様が、またまた貴重な男声として大活躍!何といっても、廣田家は凄いですね。

大人のソリストは、僕自身の信じられないようなハプニングもありましたが、加代子さんがポルトガル同様、ときゆく者とマルチノの二役を兼ねて大活躍してくれた上、美しい声を気持ちよく響かせていました。哲人のミゲルもこちらの不安を余所に何とかよく頑張ってくれました。浦川栄一さんのマンショは、お忙しい中で頑張られたでしょうが、最後まで心配が続きましたね。内田恵美子先生の町の上は、ステキな掘り出し物を見つけたようで嬉しくてなりません。歌と演技に対する姿勢もまっすぐで、毎回新たな努力を積み重ねられ、本当に好感の持てるものでした。この次も機会があれば是非お願いします。

野崎のエレクトーンと指揮は、まあ、いつもどおり、というところでしょう。この頃は歌に燃えているようなので。

続いて10日の福岡大名町教会でのクリスマスコンサート。

前半の「フィガロの結婚」ハイライトは、僕の選定に無理があったのかも知れません。出来るはずだと思ったのですが、僕の判断が甘かったとしか言いようがありません。練習不足を露呈してしまったことは、お客様に対してもすべて僕の責任です、申し訳ございません。

この話のややこしいことで有名な「フィガロの結婚」を、1時間の演奏会形式でお客様に分かって頂くには、よほどの覚悟が必要だったのですが、僕の指導力不足も否めません、反省しています。その後、このフィガロについてのお客様の感想は如何ですか?

一人ずつへのコメントを。

ああ愛しのスザンナの3人。
福田真央さんは、大分からでしたが、三人の中では一番練習に来ていたのに、他の人の練習に時間を取られて、充分な練習時間を取ってあげられなかったことが悔やまれています。しかしながらやる気が溢れた演技に好感が持たれました。課題のリズム感などは、発声とともに鍛え直しましょう。しゃべり声をこの次は徹底的に直そうね。
前田奈緒さんについては、ご本人が一番分かっていらっしゃるでしょう。
橋本敦子さんも忙しくて、練習不足は残念でしたね。鍛えてみたかったのですがーーー。

偉大なお殿様の松岡良彰さん。一番勉強してる松岡さんが一番練習にも熱心でーーー。
この役の大変さ、面白さ、分かりだしたようですね。何しろ、フィガロが主役ではなく、このお殿様が主役なのです。馬鹿トノを歌い演じきるのは松岡さんにとっても非常にいい勉強になるでしょう。チンピラに思われがちな発音の主因はRの発音がイタリア語になってしまっているからでしょうか。自然な日本語で歌うのはベルカントのひとつ上のテクニックを身につけねばなりません。さあ、今から半年、バカになりきってくださいね。僕みたいに。

お優しい奥様の3人。
村上京子さんは、アリア1曲なのに。悔しい?その悔しさを大切にね。
福田英津子さんは、折角の手紙の2重唱。その相手がーーーー。気の毒、と言うかーーー?
坂井則子さんは比較的うまく行った方かな。ダーメでかなり開眼したのか、演技にもすぐ入れて、楽しそうに僕も感じていました。ご主人様、今回も有難うございます。

プレイケルビーノの福井智絵さん。
なんだかんだと心配しながらも、アンサンブルにも少しなれてきたようだし、それほど大きなミスもなく頑張れました。僕や殿様から小突き回されて大変だったでしょうが、それも楽しめましたか?歌は、今後の目標のひとつとして、呼吸の弱さを克服しよう。普段から鍛えておくんだよ。

威張りバルトロの大塚尚さん。
演技がお好きなのは前から感じていましたが、本気で頑張られたら、この役、モノになるかもしれませんね。声も割りに伸びていました。
もう一人の田淵好隆さん。打ち上げでも反省の弁を述べられておられましたが、八女公演との両立は難しかったですか?すべて自分の責任、決めたら全力でやりましょう。目に見えないところでも他のみんなに負担がかかりますからね。わかっていらっしゃるでしょうが。

マルマルチェリーナの国松ゆり子さん。
スザンナとの2重唱、面白かったけど、まだまだ不自然な顔のままで歌う癖が残っているので、心から自然体で演技できるように、生まれ変わりなさい。これは、命令です。
藤崎恵美子さんは、はじめ体が開かず、声の伸びが悪くなっていたので心配しましたが、本番が近づくにつれよくなってきました。練習不足の田淵さんとの演技でさえもね。

こうして思いつくまま書き並べていますが、皆さん、演技は無限に深いもの、歌の世界はもっともっと深いもの、神様の前で人間は永久に素人、だから誰もが全力を尽くすんですよ。

僕も6重唱で失態をーー。これもみんな揃っての練習不足からか?自分だけは、と思って頑張る気負いがこういう失敗を生むのですね。人間界での滞在が長くなると僕もーーー?

バジリオ気取りの森山拓君。
声の伸びが以前より悪くなっているので、注意しておきましたが、演技も少し良くなったとはいえ、まだまだまだーーー。みんなもね。目標をそれぞれもっと高く!大分から、よく頑張って練習にも来たんだけど、他と時間がなかなか合わなかったのも残念だね。

どどもりクルチオの横川純一郎君。
新入社員として福岡に赴任。なかなか練習に出られなかったのかなあ?細かい演技指導を出来なかったことが、森山君同様残念です。

バルバリーナッコの国松亜樹子さん。
声はかなり伸びるようになってきているので、これからは声を安定させ、アンサンブルの感覚を育ててゆこう。演技力ももっと付きそうですね。

花娘の4人。桑原知恵子さん。鍋田美子さん。海老沢千恵さん。藤沢美保さん。ご苦労様。アンサンブルに慣れていない方が多かったから、不安も大きかったよね。でも、慣れ、だから。慣れたら、アンサンブルの楽しさが充分味わえるようになります。それまで、こつこつと頑張りましょう。

ピアノの花房聖子さん。
いつもみんなを支えてくれて有難う。フィガロはハプニングというか、いろいろありすぎて、本当に大変だったろうと思います。これからもしかし、そんなみんなを宜しく。自分自身もゆったりとした気持ちで音楽を楽しめるようになりましょう。

2部のサウンドオブミュージックになると、みんな自信が多少あるのか、余裕ができて音楽も俄然よくなってきました。お客様も子供たちの大活躍で、充分楽しんで頂いていました。やはり、オペラプラザ福岡らしい、暖かい、ユニバーサルデザインオペラになっていたと思います。ちょこっとソロがあった皆さんも大過なく歌い演じてくれました。フィガロもこうなりたかったね。まあ、歌の難易度が違いすぎますが―――。

コースマルセル神父様のお話。踊りを少し教えていただきましたが、もっと踊りたかったですね。ご遠慮なさったのかもしれません。そしておそらく、故国フランスに思いをはせていらっしゃるのでしょう。終演後は、お誉めの言葉など頂き、恐縮です。

第3部のクリスマスソングはもう大丈夫。という雰囲気でしたね。
最初の川内由美子さんのメサイアのアリアはレッスンもして差し上げられなかったのですが、やはり発音や表現でアドバイスしておけばと思いました。ヘンデルのよさをもっと出してあげられたのにね。

クリスマスソングに戻りますが、「しずけき」と「牧人ひつじを」が印象に残っています。最後のクイーンもよかったけど、もっともっとハチキレタカッタネ。

ピアノの木村千鶴子さん。
いつも話させていただいていますが、自分を決め付けてはいけません。私達は何かに生かされている以上、お返しをするべく、自分に出来る限りの努力をし続ける方がいいのではないでしょうか?貴女ならできます。一歩ずつ。信ずることです。良い音も出していたじゃないですか!

国松洋子さんも、あの二人のお母様では大変だったでしょうが、二人に負けず頑張ってくださいね。

そして、仲良しの子供たち。安部真希、海老沢春花、藤澤銀河、藤澤朝陽、本多唯那、町田安利佐、町田沙央理。みんなこれからのホープであって欲しいです。子供でいるだけで大人たちは和んでくれます。しかし、大人ってもっとステキなんだよ。大人の中には子供も一緒に生きているはずです、見失っているだけで。大人の皆さん、子供の心をもったまま、大人の優しさを大事にしましょうね。子供たちは、元気でのびのび遊べ!

それから、司会の井崎未麗さん。ご苦労様。今回はマイクを使ってみましたが、どうでしたか?多分、お客様にもよく分かって頂いて、話しやすかっただろうと思っています。ホームページ管理の若夫妻にも重ねて御礼を申し上げます。ただ、私の作った干し柿がお優しい奥様のお口にだけ届かなかったことは、残念です。何とかしたいですね。

それでは、ついでに全国の皆々様!メリークリスマス!そして、ハッピーニューイヤー!


2005年12月15日

皆様の価値なき僕 エドワード