エドワード親書 2004年 初夏号
 
 
福岡県アナテフカ村の愛する友に



 

今皆さん、どうしているのかな?さびしい?放心状態?
僕はそのまま元気ですよ。

できるだけ早く手紙(親書)を書きたかったのだけれど、やっと今パソコンに向かっています。いつもどおり何を書き出すやら分からないけど、今の気持ちをできるだけ率直に出してみるつもりです。この何ヶ月間、あまりにたくさんの皆さんといい仲間になれたので、僕のほんの一部の気持ちしか書ききれないのは分かっていますので、そのつもりで読んでください。予想外のことが書かれてあっても、逆に大切だと思っていたことが何も書かれていなくてもがっかりしないでください。


この企画が生まれたのは、昨年、友人(しすてむ管理者)のお嬢さん=未麗さんが掲示板に書き込んだ『福岡で事務局を引き受けたい』とのコメントを見たことから始まりました。これが僕に決意を固めさせ、皆さんとこうして出会えるきっかけとなったわけです。


まず八女公演から振り返ってみます。
八女では3年前、日中合作オペラ『蓬莱の国―始皇帝と徐福』を公演したことから、地元の合唱団や川崎小学校の可愛い生徒たちとの出会いがありました。それで、市民参加もスムーズにゆくだろうと、そのときお世話になった生涯学習課の諸富課長さんたちと語り合っていたのです。しかしマスコミとの連携がうまくゆかないで、そのときの合唱団の皆さんにも理解して頂く機会を逸し(八女の既成の合唱団の皆さんもお忙しそうで)、合唱団を公募してもあまり集まらず時だけが流れて心配しました。僕から合唱団に出向いて、話せば効果があるかも知れませんが、と言われても、そこまでして出て頂かなくても、と思い、十数名の合唱でスタートしました。主に加代子に指導を頼んだのですが、結果的には皆さんご存知のとおりです。
そう出演者は総勢50人くらいになり、300人くらいの観衆でした。古い会場でしたが歌いやすく、お客様の反応のよさには驚きました。出演者にも大きな励みになったでしょう。

八女ではまず、あの走り回っていた二人の兄弟。親の顔が観たい、手が付けられない、と皆から心配されていました。こういう面白い子供が、どう皆とアンサンブルできるようになるか、僕にとっても楽しい課題でした。結果的にはそう皆の邪魔にならず、まずまずのところだったでしょう。ところどころ、生き生き演技していたのをそっと見ていました。

他にも、音程を見事にはずしながら、大きな声で歌っていた男の子も、よかったね。
お客様からは賛否あることでしょうが、私の感覚ではよかったと思っています。
次は個人レッスンをこの次はキチンとできるようにして、舞台に立ってもらいますが。

さて、まず娘たち。
ツアイテルの藤島ひとみさん。
ひとみ、という名がぴったりです。あなたの独特なキャラクターが皆をほっとさせてくれ、アリガトウ。純粋な心をいつまでも持っていられる素晴らしい人だと感じていました。初恋の打ち明け話を聞かせてもらったりもし、あなたの将来が光り輝くものになってゆくよう応援します。

ホーデルの中村弥由貴さん。
体調を途中で崩したりしましたが、それを乗り越えて全力投球で最終練習に臨んでいたことが分かっていました。ホーデルをよく頑張りました。掲示板への書き込みにも自負心が表れていたね。
これからは、演技や歌の奥深さ、さらなる素晴らしさを、味わっていってください。みんなに共通して言えることだけど。

チャバの渡邊日和さん。
頭で演技をするな、と僕に言われて、見事に感性と集中力で応えてくれました。
音程のことなど、歌についてはこれから相当の覚悟で勉強してください。
僕が勉強しろというときは先生から教わったことをひたすら真似ろ、と言うことではなく、真剣に向かい合いなさいということです。

シュプリンゼの別府実沙紀さん。
あまり話せなかったね、今度聞きたい事があったらなんでも言ってください。

ビルケの小川愛さん。
お母様がフィリピン人だったことは驚きました。とっても嬉しいです。まだまだ自分の可能性について分からないだろうけど、大きく成長してくれることを願っています。

当初から黒一点参加された永石さん、
さすが演技に気合と味が出てましたね。八女混声合唱団の皆様に、この次こそは、と反省を促しておいてください。(笑)

フルマセーラの楢崎さん、ツアイテル婆さんの金井さん、森山君、飯田君、など博多組からの応援団のみなさん、アリガトウございました。博多から見に来てた宗君や娘たちもさらに親しみが持てたでしょう。他にも、オペラプラザ長崎の中尾さんや山下さん、それに波佐見公演ではモーテルを演じた古川君、みんなどうもありがとう。各地の出演者同士、これからも友情を深めていってくれることを。

それにしてもあの五反田兄弟、これからどうなるんだろう?とても楽しみ!大きく羽ばたけ!



豊前公演。

いいホールじゃないから、との栗焼さんのお言葉で上演するか迷いましたが、来て見て何とかやれると決意し、踏み切った事我ながら本当によかった、と思います。こんなステキな皆様と出会えたのですから。
波佐見からは一番遠かったところだけど、お母様たちのご好意、本当にアリガトウございました。宿泊所のほか、温泉をご紹介くださったり、度々のパンの差し入れ、などいろんなご好意改めて深くお礼申し上げます。

まず、何と言ってもイエンテの柴田真紀子さん。
教育委員会の栗焼氏らとの当初の話し合いからご相談にのって頂きましたが、何と私の親友である
武蔵野音大の田口宗明さんをよくご存知だったことが判明、驚きました。音楽界は狭いものですね。私のように日本の音楽界と一歩距離を置いて活動している者にとっては、尚更奇遇なことです。今回、合唱指導でも大変お世話になりました、有難うございます。さて、イエンテですが、本番ではかなり楽しんでいらっしゃいましたね、ホンワカとした豊前らしいイエンテでした。いいじゃないですか、こんなイエンテ。次は?

そして恐ろしいゴールデの泉裕子さん。
お会いしたときから、その雰囲気を感じていましたので、お誘いしたら、やはり、いやそれ以上にゴールデでした。(?)台詞なんかもう普段のままかな?もとの優しい奥様に戻れるか心配していらっしゃいましたが、大丈夫、そのままゴールデで行ってください、おそらくご主人もご理解くださることでしょう。

そして、ツアイテルの井上美奈子さん。
不安を乗り越え、本当によくやりました。私との呼吸もだんだんとぴったりし、私の可愛い娘ツアイテルをバッチリ演じてくれました。西鉄ホールの公演も最前列でお子様と見ていただいていたこと、分かっていましたよ。はるばる有難うね。ご家族の反応はいかがでしたか?

ホーデルの赤坂愛子さん。
僕からいきなりいろんなことを言われて、驚いて戸惑っていたのではありませんか?
他の先生方とおそらく、まったく違った姿勢で僕が練習に向かうものだから、戸惑った方は他にも多い事かと思います。僕は皆さんに表面的な技術は教えたくないんです。どうやったらうまく見えるかじゃなく、どんな姿勢で練習に向かえばいいかを感じてほしかったのです。愛子さんは本番間近、それを感じ取ってくれてるような気がしていましたが、どうかな?愛しい娘、これからも頑張ろうね。

有吉あゆみチャバ。
あなたの集中力はなかなかのものだけど、これからそれを発展持続させるだけの精神力を育てられるといいね。それからしっかりとした発声や演技の技術も身につけるといいね。
他の人へのアドバイスと違うと思うけれど、あなたにはそれを望みます。

井上早哉香シュプリンゼ。
選ぶとき、本当に迷ってシュプリンゼに廻ってもらったけれど、あなたにもいいものを感じています。これからも楽しみにしているので、頑張ってね。

ビルケの八田瑞生。
頭もよく廻り、元気な娘を演じていました。最初のご挨拶も見事。これからも大きな夢を育てていって下さい。

そしてフルマセーラの八田淳子さん。
見事でした。各地にもおいで頂きいろんなフルマセーラをご覧になりいかがでしたか?何と、豊前公演だけはマイクなしで歌って頂いたのに迫力があってよかったですよ。充分楽しんでいらっしゃいましたしね。その上、本当にお優しそうなご主人には、急遽ビデオを回していただくなどお世話にもなりました。もう、まさに家族ぐるみで、ご参加くださいました。これからもよろしくお願いします。

ツアイテル婆さんの北崎さん。
動きながら歌ったり、飛び上がったり、大変でしたが、やり終えて今はどんなお気持ちですか?ホットしてる?それとも?

八女に続いて黒一点の中西さん。
市役所の中では、いったいどんなお仕事なのか分かりませんが、さぞかしユニークなお仕事振りでしょうね。本番は、市長さんも2階でご覧になっていたそうですが、市役所に貴重な人材を抱えておられる事を、誇りに思われたことでしょう。市役所に収まりきらないはじけぶりで、お困りでしたら、役者の道が大きく開いております、どうぞいろんな意味でご活躍下さい。世の男性諸君、中西に続け!

それから乞食のナフムに急遽採用した、岡部綾美。
よくやったね。あなたにさせて本当によかったよ。

それからアブラムの娘にした清原由美子、
やる気満々でとても面白かったよ。これからも大きくのびのびと成長して、いい歌役者になってください。

他にも、豊前の素敵な奥様方には野崎や鈴木などが本当にお世話になりました。
末吉順子さんからのおいしいパン、飢えた若者たちと共に、皆でおいしいと騒ぎながら食べさせていただきました。

それから、佐々木道子様、御心使い頂き恐縮しております。有効に使わせて頂きます、本当に有難うございました。

しかし、何といっても一番印象に残っているのは、豊前のふわっとした暖かさ、優しさです。
皮肉に聞こえるかも知れませんが、現代のめまぐるしい時代だからこそ、皆様のゆったりとした、お気持ちをこれからも大切になさってください。
まあ、次に何かあるときは、練習ではもう少しきりっとしてもいいかな?


そして添田。

オークホールという素晴らしいホールをお持ちでいいですね。担当の平原さんには、うちの若者たちがご心配をかけたところもあったかと思いますが、どうぞお許し下さい。
最後のお別れに、『今、取り組んでよかったと思っています』とのお言葉が印象的でした。

しかし、ま、添田では何と言っても大塚玲子大先生。
大先生の「口を大きく開けて!」の叱咤激励には皆さんも驚かれたかも知れませんが、確かに響きだけのことを考えると危険なのですが、体中をしっかり使うという感覚は、その言葉で皆さんに伝わっていたのではないでしょうか?それより何より、先生の大きな情熱が全てです。先生、これからもどうぞお元気で!また、素敵なことをご一緒にさせてください!

ピアノ伴奏をお引き受けくださった綾部資子先生。
ご苦労様でした。とても気が利いて要領も分かっておられ、大助かりでした。この次何かありましたら、是非ご一緒くださいね。

さてツアイテルの吉田砂織さん。
戸惑いながらの参加だったと思うのですが、終えられてどんなことを感じていらっしゃるでしょう?あまり細かく見てあげられなかったかも知れませんが、何かのきっかけとなり、さらなる成長のステップになってくれることを願います。

高柳麻巳さんのホーデル。
発声がしっかりしていることもあって楽しみでした。学校がお忙しく、ゆっくり指導できなかったことがちょっと心残りですが、この次はもっとゆっくりと練習できますよう願っています。

チャバの永沼風子さん。
ひとり、高校生でチャレンジ、緊張したことでしょう。泣かせてしまったこともありましたが、乗り越えて、僕と一緒に頑張ってくれました。内股を直すことは、自分を変えることでもあり、大変だったことでしょう。この次はもっと大きく成長しようね。

シュプリンゼの須山裕貴ちゃん。
元気いっぱいの娘でした。よかったよ。もっともっといろんなことをこれからやってゆこうね。楽しみです。

ビルケの松元怜緒ちゃん。
もう、とってもとっても可愛くて皆の人気者、台詞もよく頑張りました。

フルマセーラの末永加代子さんとツアイテル婆さんの数山眞理子さん。
お二人とも、緊張されたことでしょうね。でも楽しめましたか?また、この次はしっかり練習して頑張りましょう、よろしくお願いします。

また、ここ添田でも黒一点の讃井栄一さん、アブラムで参加されました。
おそらく、シャイなご性格で、いろんな台詞や演技はおそらく大変だったでしょうが、それを乗り越えて段々大きな声を出されるようになり、ご自身も今、何か一皮剥けかけたものを感じていらっしゃるのではないでしょうか?そうだと嬉しいです。舞台は人の可能性を拓くものでもありますから。

最初の挨拶をしてくれた??チャン。お名前を聞き損ねてごめんなさい。とてもとてもよかったよ。添田は小さな子供が多かったので、お名前とお顔が一致しない方が多く、許してください。とにかく、子供は楽しみ。お母さん方は『壊れかけたコンピューター』と誰かさんに揶揄されないよう、お母様の素敵さを大事にしましょうね。大人はもっともっと素敵なのですから。

それから、ここで五島列島の福江市から来た、テノールの浦上寿さん。豊前、添田と参加して頂きました。聞くところによりますと,ミッチーに騙されて来たそうですが、ご苦労様、来年2月の福江公演頑張りましょう!


最後に福岡天神西鉄ホール公演。

冒頭で触れたとおり、井崎未麗さんの発案が僕を動かして今回の事業が始まったのです。
今までの事情から西鉄グループの協力がまず決まり、どうせ来るならと他の各地に呼びかけて今回の巡演となったわけです。
私自身が、7月末の日比合作オペラ「高山右近」の新国立劇場での本公演を控え、福岡にはあまり来れなくなる事を見越し、有吉氏、行徳氏、古川氏、渡邊氏、そして石多加代子に指導を分業して頂ける体制を作ろうとしました。
結果的に、高山右近公演が延期になり、私に少し余裕が出来たことから、福岡は有吉氏に演出をお任せし、他は私のオリジナルの演出でやることにしました。福岡の出演者には、指導の船頭が多くて、混乱されたところもあったかと思います。ごめんなさい。

まず有吉真知子氏。いつもうちの若者たちと仲良く楽しく遊んでくださり有難うございます。
特に、野崎や加代子とは親友という仲になって頂いている様で恐縮です。有吉さんなら、私の基本姿勢をよく理解して、私の目の行き届かないところをフォローして下さるであろうと、信頼して時々助けて頂きました。これからもどうぞ、若い仲間たちをよろしくお願い致します。(飲みすぎないでお体を大切にね)。ご希望なら、若者たちを預けますので、モッチャンか誰かと組んで指導体制を固め、歌役者の研修機関を作って育てて下さいませんか?

野崎のエレクトーン。
何しろ、福岡市公演では前代未聞の1日3回公演。その上、2回目公演でエレクトーン故障のハプニング。本人には大変なプレッシャーだったと思うのですが、皆さんに助けられて頑張りとおすことができたと思います。本人は今や歌うことに情熱を燃やしているようですが、これからも音楽面、精神面、いろんな面で大きく成長していってもらおうと願っています。
皆さんもどうぞ暖かく応援してあげてください。

テビエの井上さん。
再度私からお願いしてご出演願いました。何しろ奥様が私の武蔵野音大での同級生だったこともあり、縁を感じます。井上さんは、東宝ミュージカルで森繁さんたちと『屋根の上のバイオリン弾き』にも出演しておられ、ご自身も現在、福岡でミュージカルのプロ歌手として活躍しておられ、『生の声で勝負する』と主張されることから、私の変わりに今後テビエを歌っていただけるかも知れないと期待しておりました。さすがに私とはまったく違った味のあるテビエをやっていただけそうでしたが、6月のご自身の公演を控え、台詞や歌を覚えられるのが大変そうでしたね。ご迷惑をお掛けし申し訳ございません。6月の公演にみんなが見にいってくれるよう、私からも言っておきます。
ついでながら、うちの若者たちに若さの秘訣を伝授されたそうで、有難うございます。
奥様にも、九州にいる私の同級生にお声をお掛けくださったことお礼申し上げてください。

いとしの妻ゴールデ、行徳睦代さん。
参加していただいて、本当によかった。有難うございます。何といってもその優しそうなお人柄に惹かれて、お誘いし、共演して頂きとっても嬉しく思っております。
演技では、優しそうなゴールデを感じさせながらも、決めるべきところはキチンと決め、テビエの私を威圧してくださってよかったですよ。
ゴールデもいろいろあっていいのですね。共演していてとても楽しかったです。
それに、何より嬉しかったのは、アンサンブルで快くハモッたり、歌での音楽作りが躊躇なくできたことです。やはり、発声ができている方とのアンサンブルは燃えてくるものがあります。この次は、二人でさらに充実した音楽作りをしましょうね。ご主人は何か仰っておられましたか?

石多加代子のゴールデ。
福岡のみならず、八女、添田でもゴールデをやってもらいました。各地の指導にも駆り出してしまい、申し訳なく思っているところもあるのですが、素晴らしい方ですねと、皆さんが彼女を絶賛してくださるものですから、私は悪役の仙人として通させていただけ、内心ホットしております。
何しろ、いい人、と思われるのが一番困るものですから。
加代子のゴールデも行徳さんのと通じるところがあって、どこか優しさが伴っているのですが、今回は巡演の中で、「愛してるかい?」がうまくアンサンブルできたと思う事が何度かありました。お互い成長したのでしょうか?何しろ、あの控えめな性格ですから、仕切りたがりの舞台関係・音楽関係者の中にあって、いつも控えてしまいがちなのですが、彼女の実力は通好みでもあり、今回も彼女の歌に、深い共鳴を抱いた方もおられるかも知れません。

渡邊均さん。
福岡公演指導者として精力的に指導くださり、またロシア警官としても福岡のみならず各地にも歌いにおいでくださり、感謝申し上げます。演技の方も開を重ねるうちだんだん警官として内面を深めてきてくださり嬉しく思っていました。これからも、私の方針にご協力いただけ、私の足りないところを補ってご指導賜ればと思っております。学校も練習場としてお貸しくださり、助かりました。有難うございました。

さて、わが娘たち。調子のいい、甘えん坊ばかりの娘たちのようでしたが、内心はそれぞれに懸命に頑張ってくれ、父として一応安堵しております。ふつつかな娘たちを皆様、よく受けてくださり、父として改めて感謝申し上げます。ただ、歌はみんな共通して、相当鍛え直さなくてはね。父としてのみならず、指導者として責任を痛感しています。

すべての参加者の皆さん、やはり、発声です。しっかり鍛え直し、僕がいう「出したい声を出せる」究極の発声法を身につけましょう。
先生によって指導法もいろいろあるのは当然で、登り方はいろいろあってもいいのです。しかし目指す頂は、深々と軽々と歌える技術を基本に身につけることです。そうすると、どんな歌い方もできる、ということです。

A組のツアイテル、江口純代。
『何を感じながらやっているんだ?』と僕から叱られながら、役作りに専心してゆく姿が印象に残ります。ツアイテルはもう誰にも譲りたくないかも知れないけど、さらに自分を豊かに成長させ、大きな気持ちでみんなと向かい合えるようになろうね。ま、まだまだ子供だから仕方ないか?

もう一人のツアイテル溝口明子。
声の大きさで、皆を圧倒していましたね。歌も喉を詰めるのが直ってきそうに思います。
ヒントは前に教えた通りですが、体で実感してゆくために、キチンとレッスンしてゆきましょう。あなたは、顔の作りも舞台栄えするし、声の大きさも大きな武器です。
ただ、みんなそうですが、自分が懸命になるだけでなく、共演している皆と同じになって懸命になれると、もっと大きな成長した演技ができるようになります。
やはり、これからだね、神様の前では誰もがみんな素人です。一緒に成長しましょう。

赤司麻美子ホーデル。
ホーデルの意思の強さをどう表現できるか、課題でしたが、かなり頑張って表現できていました。あなたのふわっとした感じが、少し力強いものになってきたと思います。ホーデルもいろいろあってよく、僕は楽しんで見ていました。発声も比較的安定しているので、これからは、はっきりしっかり表現できることに目標を定めましょう。そのためには、やはり発声の幅を大きく成長させることも必要です。僕の娘なら、きっとやっていってくれることでしょう。

瀬利裕子のホーデル。
泣き虫でもいい、何度挫けてもいい、必ず立ち上がって向かってきてくれると信じていました。注意したことが割りにすぐ直せたのも、いいな、と感じていました。発声もよくなってきそうだし、成長するにあたっての謙虚さも自然に身に付いているし、あとはやるだけだね。まだまだ、いろいろあるだろうけど、誰かの大きな愛を忘れず、豊かに大きくなって来て下さい。

福井智絵チャバ。
掲示板から今の気持ちが伝わってきます。
どんなに甘えてもいいけど、お父さんとしては道を指し示し、案内することしかできません。歩くのはもちろん自分です。智絵チャバ、まず自分をじっくり鍛えようじゃないか。
みんなそうだけど、自分がやりたいやりたいというだけでなく、裏で支援して下さる方々に応えられるよう、またお客様に夢を見てもらえるような鍛え抜かれた技術と、どこまでも人々を愛せる精神力をまず身につけよう。あとの舞台のことは演出家など指導者の責任です。僕は娘たちがしかっりした力を身につけながら自立してくれることを望んでいるのです。かわいい子供には少し厳しい旅をさせたいのです。

もう一人の小川文子チャバ。
瀬利ホーデルと共に、私と3人が同じ9月21日の誕生日。驚いたね。
歌も演技も、全力投球。気合いは伝わっていましたよ。これから、さらに豊かに表現できる力を身につけてゆきましょう。完全燃焼するためにも、自分を磨きあげるのです。
そしてホンモノの自信がついたとき、周りの人々を真に愛し始めることができるでしょう。

シュプリンゼの江口智美。
お姉さんたちとの共演の中で、何を感じていましたか?
素敵なお姉さんたちでしたか?どんなシュプリンゼのイメージでしたか?
これからも、大きく世界に向かってゆくんだよ。

菊池茉央シュプリンゼ。
歌をモッとたくさん練習したかったね。
どうしても、今回は、主役の人々に練習が多くなり、他のみんなにどこまで指導が行き届いたのか疑問です。しかし、それはやむを得ない事であり、皆さんお許し下さい。この次は練習期間を長めに置きますので、発声や演技や体の動きをじっくり勉強しようね。茉央ちゃん、これからだね。頑張ろう!

ビルケの桜井志萌。
もう何度目かの出演だけど、これからどんなミュージカルスターへの道を歩むのか、見守っています。チャンスということもあるけど、あまり焦らず、大きく成長してゆく志萌ちゃんを応援しています。

堀江葵ビルケ。
歌もピアノも好きでいいね。ご両親の暖かい愛を感じますか?
蓬莱の国の時とは、だいぶ違った舞台だったかな?もし、ピアノか何かで凄いね、と誰かに言われたら、何と答えていますか?

ロシア警官の松岡志功さん。
マッチャン、ご苦労様。高いソの音のロングトーン、成功してよかったね。
誰が最初に拍手しだしたか知っていますか?
何より、マッちゃんのお人柄、懐も深いし、いいなと思います。これからもどうぞよろしく!

モーテルの森山拓君。
各地での巡演にも参加し、何か掴みかけましたか?いろんなお兄様、お姉さま方に可愛がられて、今の心境はどうですか?
モーテルを自分の地じゃなく、自分のイメージしたとおりに演じられるよう力を付け直しましょう。これからも、今時の歌い方に満足せず、最高の歌を目指してください。

パーチックの宗勇二郎君。
基礎的な力もある程度持っているようなので、一歩離れて見ていましたが、本番近くになるといろいろアドバイスをしましたね。あなたへの僕の願いは、さらに自由に大きく羽ばたいてほしいことです。形に捉われず、自由に歌うことは、もちろん大変なことですが、君なら出来るようになると思います。歌は、心のもっともデリケートな部分をも余すところなく表現できるし、気を抜けばただの『いい声だったなあ』で終わります。じゃあ、これからね。

ラザールの田淵好隆さん。
何より、一所懸命さが素晴らしかったです。ラザールの性格に気弱なところを見つけ、表現するようにされていましたね、面白かったです。有吉氏やみんなに奨められたのでしょうね。何より、全力でやることが大切、とみんなにも映っていたのではないでしょうか?共演できなかったのは本当に残念ですが、この次は是非やりましょう。

そしてバイオリン弾きの廣末真也君。
すべての公演に出てくれ、うちの若者たちと今や親友のように、いい友達になってくれ嬉しいです。僕とのアンサンブルでも自由に乗ってきてくれ、こんなにバイオリン弾きと自由に遊べた事はありません。長崎公演でも頼むぞ。アイザック・スターンのように今度はやってみる?

歌うクラリネッター井村奈保子。
やはり、結局全公演に付き合ってくれました。頑張ったね。今は寂しいだろうけど、またすぐ皆とやれるからね。それまで、また技術を鍛え直しておいて下さい。
また、巡演中は野崎と共にみなの洗濯物まで手伝ってくれ、みんなも感謝していました。
これからもいい仲間でいてください。

ツアイテル婆さんの石田典子さん。
軽々と持ち上げて貰ってよかったですね。可愛い可愛いステキなおばあちゃんでした。この次は?もちろんお姫様?

もう一人の金井理香さん。
やや軽々と持ち上げて貰ってよかったですよね?ふくよかなツアイテル婆さんも可愛いものです。八女と合計3回のお婆さん。もう厭ですか?やはり次はお姫様の役を?

フルマセーラの緒方利恵子さん。
この役は発声が難しく、アドバイスもしましたが、ソプラノ歌手にとっては誰もが辛いもの、よくやってくれました。しかし、快感でしょ?ご家庭ではいかがですか?

フルマセーラの楢崎朗子さん。
見事な当たり役!といったら怒られるかな?演技力だよね。
フルマセーラだけはマイクを使いましたが、発声のテクニックがついてくれば、500人くらいのホールなら生で勝負できるかも知れませんね。次はイメージチェンジしてみたいですね。

サーシャの河本博志君。
慣れてきたのか、どんどんいい顔になってきたよね。
もう少しでフィヨードカをさせられるかも、と思わされました。どんなミュージカル俳優になるのかな?応援するからしっかりした力をつけようね。

ユステイナの讃井祐美さん。
「モーテルが好きだったのに!」板についてきたね。もう終わっちゃったけど、この台詞を楽しんでくれるようになってくれて(?)嬉しいです。
これからは、とにかく発声と演技をしっかりどんどん磨きましょう。

松雪美由貴さんのオルガ。
『キエフでたい!』が印象に強く残っています。
発声などあまり教えてあげられなくてごめんね。これからだ、頑張るぞ!

アンネの川崎奈津子さん。
演技をとても楽しいんでくれ、見とれていました。好きなんだよね、根っから。分かります。あとはやはり発声、何とかします。任せなさい!ああ、責任を感じる。

デームスの橋本薫さん。
衣装でも活躍していましたね。これから卒業発表だったっけ。頑張ってね。
いろんな角度から舞台に関わるのはとてもいいことです。
酒場の舞台などでも工夫しているのがよく分かっていたよ。

シャンデルの泉慶子さん。
「どこが悪いんだい、うちのモーテルの?」
この台詞が本番に向けてどんどんよくなってきて、嬉しい気持ちでした。
これからも皆で舞台を作り上げてゆくことの、素晴らしさ、分かち合いましょう!

アルマの小野香衣子さん。
発声の癖を少しだけ直させてもらったけど、完全に自由になればもっともっと表現力がつくので、頑張って自然な発声を考えましょう。響く声を持っているのですから、楽しみです。

ミリラノの新井佳恵さん。
いろんなことに取り組んでいらっしゃることが分かってきましたが、とにかくお母様と共に裏方の事務局までお手伝いくださり、感謝しています。きっとこれからいろんなことをなさってゆく方だろうと思います。どうぞご一緒に頑張りましょう!歌も演技も鍛え直して!

マリーの上長野有希さん。
うわさのシーンでのソロ(2重唱)、怖かった?楽しめた?
今度、発声をじっくり考えようね。

ヤーコブの楢崎彩さん。
もう大活躍だったね。細かいところまで指導できる余裕がなかったのが申し訳ないけど、君なら、聞きたい事は自分で聞いてくるだろうと、おいておきました、よかったですか?
ま、これから、いろいろ楽しみです、頑張れよ!

ナフムで急遽選んだ中村郁絵さん。
急遽頑張ってくれたね、有難う。だんだん僕の呼吸を掴んでくれてきて、やりやすくなってきたよ。これからもその大きな声を生かして、歌や演技を成長させてください。

練習ピアニストの花房聖子。
ブレスを深くすることや、左手でリズムを作ってゆくことなど、ちょっとアドバイスしましたが、まさにホンモノの音楽家になるのはこれから。自分次第です。
事務局までいろいろ手伝ってくれ、有難うね。

事務局の安松和子さん。
裏方がどんなに大変か、体験しない限りは分からないものですが、自ら買って出てくださり、本当に感謝の念でいっぱいです。これからもいい友達として、ご一緒に制作もお願いしますが、歌もどうぞ歌ってくださいね。

そして井崎未麗さん。
親友のお嬢さん、ということはともかく、よく僕を動かすきっかけを作ってくれました。
おそらく、お父様、お母様、お婆様、おうちの中すべてが『アナテフカ物語』で振り回されてしまったことでしょう。将来、アナウンサーになられても、舞台関係に進まれても、他の仕事につかれても、出来るだけのことはする覚悟です。しかし、やはり、歩くのは自分、頑張ってね。


最後に東京オペラ協会からのメンバーにも一言ずつ。

モーテルの遊。
集中力と気迫はプロっぽくできるようになったので、あとはそれが活きるよう、技術とそれを導く冷静な精神力を育ててくれると嬉しいです。

パーチックの哲人。
ここ一年くらいで歌と演技は確実に成長してきました。
これから、さらに禁煙を続け、より大きな気持ちで、今の混乱した世界と向かい合えるよう成長を期待しています。世界をこの混乱から救える道は?

長野実のフィヨードカ。
すべて一人でこの役を演じきりましたね。ご苦労様。
あまりアドバイスをしなかったけれど、聞きたくなったらどうぞ。

ラザール(ナフム)の納谷利也さん。
いつもながら若者たちの要になっていろいろ気を利かせてくれ、有難う。舞台のことでも精一杯僕の意向を汲めるよう努力してくれているのがよく分かっていました。
とにかくまだまだ若いので、大きくこれから、素晴らしい役者目指して頑張ってください。

メンデルの敦史。
段々この役が身に付いてしっくりしてきたね。今回は福岡公演で歌のソロもあり、大いに燃えたことでしょう。本音の敦史君と、建前の敦史君、これからもうまく使い分けて成長してください。

ラビ様の慶弘。
制作のほかコザックダンスまで、いつもながらいろいろ活躍しましたね。
みんなのアイドル(マスコット)としても各地で可愛がられていましたが、国民栄誉賞よりステキな名誉が与えられますよう、アーメン!

大地のロシア人。
今回、憧れの悪役ロシア人を演じられどうでしたか?
何をしても目立つので、自分がその舞台でどんな風に役立つ事を求められているか、よく理解して、練習・本番に臨んでください。

ついでながら、私の台本、指導、総監督、テビエ、すべてについて責任を感じています。
今回は、風邪もひかず、最低限の体調は保てました。周りのみんなに感謝します。
これからも、何か大きなものに生かして頂いていることに感謝しながら、私に与えていただいている仕事をさせて頂きます。

われわれは、めまぐるしく動く世界に振り回され、自分に与えられた仕事・役割が何なのか、分からなくなり、つい目先の利欲に聡くなってしまいます。しかしながら、歌や仕事がうまくなりたいのは、世界に貢献したいからで、自分が褒め称えられたい為ではありません。

続いてエドワード親書に、私の今までのことを書いた小文を、思い切って載せます。もう少し私の背景に興味をお持ちでしたら、どうぞそれもご一読下さい。

もう一度皆さん、福岡巡演、オメデトウ!!そしてありがとう!!


 
                     2004年5月28日             
みんなのパパ、エドワード。