エドワード親書 2008年4月号
3月23日「魔法の笛と鈴」前原公演に寄せて
前原公演、楽しかったですね。

終演後も前原のお客様方から、こんなに素晴らしいものをどうしてもっと宣伝しなかったのですか、などという声が聞かれたそうです。しかし文化課の平野さんや矢野さんはじめ前原市役所の皆様も最大限の協力をされ、新聞も何回か取り上げてくださり、やるべきことはやった感じなのですが、300名あまりの観客動 員は少し寂しかったですね。
まあ、しかし、お客様のご様子は充分楽しまれていることがよく分かりましたし、結果はよかったと思いましょう。いつかはもっと広がることを期待してーー。

お一人ずつに短いコメントを。

パミーナの廣田梓。大学一年生ですが、爽やかな可愛いお姫様は、見事に期待通りでした。本番前に風邪を拗らせかけましたが、しっかり直してよく歌い演じました。課題の呼吸はこれからじっくり鍛えてゆきましょう。

もう一人のパミーナは中学2年生の本多唯那。梓よりも大人っぽいお姫様で、みんな舞台での様子に驚いていたでしょうね。呼吸が弱いのは梓と同じですが、舞台での集中力は二人とも持っているので、後は細かいことにとらわれず、自分を甘やかすことなく身体と精神力を鍛え、大きくユタカな表現力を持てるよう、精進して下さい。

タミーノの大園高弘君。大変なデビューを果たしてしまいましたね。選んだ僕も覚悟して全力で引っ張ろうと覚悟しましたが、本人の真摯な努力がすべてでしょう。本当によくやりました。これからはオペラプラザ福岡で一からみっちり指導してゆきますが、身体の硬さなどをほぐしながら大園君のまっすぐな姿勢を伸ば したいと願っています。

石多加代子は今回も夜の女王。僕ほどではなくても、同じく風邪で咳もしていたのに、あの難曲を安定してよく歌いました。演技もさすがに上達しましたね。やはり、長年の経験かな?

前原ダーメ1の笹栗眞希さん。いかにも前原女性代表!であるかのように張り切ってくれました。よく通るいい声を持っているし、演技もよくやってくれました。僕が演出指導じゃなくても、いろいろ面白くやりそうだね。
2の氏原広美さん。ちょっと控えめな中で、お茶目な芝居心がくすぐられてきたのでは?
そうです、歌は世界を結ぶのです。このテーマソングをどんどんあちこちで歌って下さい。
3の三苫奈美さんは途中参加なのに、短期間によく集中して頑張ってくれましたね。これだけ自分が出せる役はピッタリでいいでしょ?とにかく前原組の3人、その気になって楽しんでくれていたのが、ヨーク伝わってきました。

助っ人組ダーメ1の山口陽子さん。この役はもう、わが十八番ですね。わがままで可愛いこの役がどんなにいい役か、皆さんに証明してくれている様に思いました。
それに実際対抗したのが、カンボジア帰りの大石愛子演じた2ダーメ。地のままとはいえ、山口さんとは違った路線を見つけてうまくバランスを取ってくれていました。この頃発声をしっかり見ていなかったので、今後はその声を活かした発声と演技を追及しましょう。
3の中村芳子さん。なかなか自分を解放できず苦しんでいましたが、舞台役者は普段の自分とまったく関係ない役を楽しめる特権があるのです。八女ではお客さんをビックリさせてくださいね。

モノスタトスの遊達人は、相変わらずの大活躍。舞台監督をしながらのモノスタトス。なかなか考えられないことですが、今回もよくやってくれました。いつかパパゲーノに挑戦してほしいと願っています。しかし、本気で発声を鍛えること、です。

パパゲーナは藤野あかりが新春コンサートに続いて挑戦。歌いこむ時間を充分取ってあげられなかったことが悔やまれますが、お客様があかりの演技をどんなに楽しまれたかーー。とにかく歌を磨きましょう!サルは、当然の如く、よくやっていたけど、3人のチームワークを徹底するにはやはり練習がもっとほしかっ たかなーー。
谷口あゆみはパパゲーナに初挑戦!やはり藤野あかりとは一味違った老婆で、独特な面白さでしたね。お客さんも喜んでいたと思います。歌は、もっともっと伸びると思うので、これからもしっかり技術を身に着けて下さい。コアラで抱きついてくるアイデアも面白かったです。

ザラストロの岩永一也は、少しずつ進歩もしているのですが、身体全体を響かせ続けるテクニックを是非身につけてほしいです。気迫も関係あるけどねーー。パパゲーノの代役では大いに助かりました。いつか挑戦する?

さて、クナーベたち。
大軍団の可愛いクナーベたちは、もう可愛い、の一言。3歳になったばかりの子の途中出演はさすがユニバーサルデザインでしたね。藤澤朝陽は照れながらも、みんなの仲に入っていけましたね。春日優良は悪戯しながらも、一生懸命やろうとしている姿が忘れられません。みんな、これからも頑張ってね!
クナーベソロには、安川真央。僕に鈴を渡すところの表情が自然で微笑ましかったーー。
井崎未麗は声がよく通ってきていました。ピッタリだね、何歳になったのか知りませんが。
藤田聖奈はまだぎこちないけど、何とかみんなについていけてたね。
遠入みのりは、いつも練習からしっかり楽しんでいましたし、ミンナを楽しませてもくれていました。くるみと違う役をやったことも面白かったね。
西川裕子も独特な表情でしっかり歌えていましたね。
山田響子は一人中学生だったけど、いい笑顔だったよ。いい姿勢も忘れずにね。
田中美香は、山田響子と3の低いパートをよく支えていました。もう、子どもになっていましたか?低い声をしっかり出せる人は少ないので貴重です。

そして、サルたち。チビザルたちは練習中に煩さがられるほど元気いっぱいでしたね。
まず藤村愛花。お母さん譲りにも見えるその豊かな表情と眼差しで、とっても面白かったです。これからも頑張れ!
遠入くるみは、騒ぎすぎてか練習しすぎてか分かりませんが、少し声がハスキーになっていたね。君たち双子はきっとこれから面白いことになるでしょう、楽しみ。
草野天音も相当悪戯だったね。たくさん怒られましたか?それもいいでしょう。それにしても天音は、お芝居が本当に好きなんだねーー。
大人見ザルの萩尾由美子さん。舞台の面白さも怖さも少し感じたでしょうが、まだまだ舞台は奥深いものです。これからも努力を続けてもっともっと楽しめるようになって下さいね。
言ワザルの藤澤美保さん。超多忙な時期、台詞を覚えるのが大変だったと思いますが、何とか間に合いましたね。3人での練習時間をもっと取れたら、さらによかったかな。いろんな雑用もしてくださったことと思います、有難う。銀河は元気かな?

合唱などで参加された、地元前原のコーラスの皆さん。楽しかったですね。皆さんを代表して中村洋子さん。最高齢出演。でも75歳でしたかーー。まだまだこれからですよ、是非これからもご参加下さい。他の方々にもどんなに励みになることか!素敵な笑顔が忘れられません。田中輝代さん、西尾緑さん、山下政子 さんもそれぞれ頑張りましたねーー。
オペラプラザ福岡からは原田恭子さんの声が良く通っていたのが印象的でした。大好きな桑原さんは相変わらずの素敵な笑顔、高地さんはいつものとぼけた味、本多さんは唯那の応援団長かな、みんなご苦労様。

オペラプラザ長崎からも沢山出演して頂きました。みんな有難う!
三浦さんは唐津から、声が通っていてよかったよ。山下洋子さんは、いつもどおりの思い切った演技、井上さんと川口さんは今回ダーメ役を譲って軍団にご苦労様。人のを見ていても面白いでしょ?今回、廣田結希は他のサルを見る側に回ってどうだったかな?

また、特に男性はご苦労様でした。オペラプラザ長崎の廣田さんは強い声になって今やテノールの要、オペラプラザ福岡からは復帰されたばかりの諌山孝之さん、そして平戸からは美しい大和ナデシコの奥様にご同行して山口龍一郎さん、雲仙からははるばる5時間もかけ中村大輔君も参加し、貴重な男声合唱を豊かにし てくれました。

ピアノは雲仙に続いて再度、舟本いづみ。少しピアニスティックな弾き方に近づけたかな?
これからもしっかり練習して頑張ろう!
キーボードで鈴や笛の音をお願いした三苫京子さん。僕からさんざん注意を受けましたが、臆することなく、手伝ってくれましたね。今となってはご苦労様、これからも頑張って下さい、と心からのエールを送ります。でも、もっともっといい音楽にする喜びをこの次は共にしましょう。お母さん、大丈夫ですか?

舞台進行?の中山さん。いつもご苦労様。照明の皆さんもご苦労様。
みんなみんなご苦労様――。

僕も今回でいよいよ最後のパパゲーノか、と思いながら練習していました。体調をきちんと管理できない限り、残念ですが、主役は難しくなってきましたねーー。次の世代に期待しましょう。みんな頑張れ!
僕も、奇跡的にスケジュールに余裕が出来たら、不死鳥の如く復活するのも夢ではないかな?

それにしても、このユニバーサルデザインによる「魔法の笛と鈴」、いい作品だと思いませんか?これが全国各地で公演できるよう自然に広がってゆけば、日本ももっともっと楽しくなるのでは?

春爛漫の弥生のよき日に  石多エドワード