エドワード親書 2014年3月号

岡山公演を終えた今、熱く思う。

広瀬千加子さん、何と言えばいいかーーー。

ご苦労様という言葉では、僕の気持ちはとても載せられません。
当初の旗揚げ公演の事務局が解散してしまって戸惑っていた時、彼女に事務局を引き継いでくれないかを頼んだのが、此処までやって来ることが出来たきっかけでした。
本当に素晴らしい人に出会えたと思います。
そして、愛媛の秦さんの紹介で宇高君が現れ事務局次長に、続いて核になってお手伝いくださる方々が次々とーーーー。広瀬さんの一途なお人柄にみんな惹かれてでしょうね。
確かに、何かが広がってゆくときは核になる人と手伝いたくなる方々とのチームワークが出来てくるものでしょうが、艱難辛苦を乗り越え、みんなで広瀬さんを支えてくださり、熱いエールを改めて送りたい気持ちでいっぱいです。皆さんにも。

その広瀬さんの熱い叱咤がみんなの心に届き、本番は流石にみんな頑張りました。
今日の親書はこれで終わりにしてもいいくらいです。

carmen

とは行かないでしょうから、思いつくまま書き連ねてみます。
「カルメン」と「ヘングレ」の二本立てハイライト公演。
「カルメン」を今回の様な形でやることは恐らく、事務局と萩原君で決めたのでしょうが、僕の余計な心配を乗り越え、お客様は納得し満足してくれたように思いました。僕は本番を二階席でずっと見ていたのですが、カルメンの音楽の魅力も伝わり、そして前回よりもこなれた「ヘングレ」の舞台も分かりやすかったようです。

打ち上げで何人かから話しが出ていたように、音楽をさらに磨き上げたいのは当然です。
私たち音楽家は、もっともっといい音楽を、と飽くなき追及をします。
そして、ユニバーサルデザイン、という大きな目標が同時に掲げてあります。
私がずっと提唱しているユニバーサルデザインオペラって、どんなものだと思いますか?
答えは、親書に限らず何百回もいろんなところに書いているので、その気になれば誰もが読むことや、僕の指導から感じてももらえることなのですが、もう一度だけくどく説明させてください。

公演のカーテンコールでお客様に話したように、
いろいろな人が集まってオペラを作り上げるのは、世の中がいろいろな人で成り立っているからで、それは本来当たり前のことかも知れません。しかし、目指すのはいろいろな人が参加するだけではなく、参加した人々がより生き生きとされ、周りの人々とも許しあい愛し合う存在になっていただきたいのです。上手くなったからと奢る歌手や演奏家になってほしくはありませんし、なかなか思うように歌えないからと落ち込むだけでいてほしくありません。それぞれの人生や性格や諸事情を思いやりながら、助け合ってそれぞれに成長しあえたらどんなにいいでしょう。
ユニバーサルデザインオペラが、互いを思い合いながら手を取り合って成長する場になることを願っています。

私は、この体に無限に降り注いで来るエネルギーの様なものが怖くもあります。
いつも人知れず抑え込んでおかないと、爆発しそうな気がするのです。湧き溢れて止まらない情熱を少しずつ小出しにしている感じでしょうかーーー。
今回も、その一部をさらけ出してしまいましたが、そんな大きなエネルギーを皆さんに届けなくてもいい、そんな世の中であることがいいのでしょうが。
この空っぽの体に入り込んでくる力を、どのように社会に還元すべきか、今も考え続けています。

打ち上げで同席した横尾さんの言葉が印象に残りました。
ねぎらいの言葉をかけたら、こんな返事が返ってきました。
「このお手伝いが大変と思ったことは一度もありません。
また、眠りの精の衣装に羽根まで作ったのですが、何かそれは監督の意図ではなくバランスを崩してしまうように思い止めました。でも、羽根を作ってしまったことも無駄だったとは思っていません。」
こんなにすてきな仲間が居たんだと改めて嬉しくなりました。
ついでながら、二人の娘もそれぞれにここまで成長したんだな、と岡山のメンバーみんなが喜びを分かち合ったのはお気づきの通りです。継続は力、と言いますが、継続した努力は実を結んで行く、と言い直せば耳が痛い?

指揮の萩原君は、いつもながらよく頑張ってくれています。さすが、広瀬さんが見込んで頼み込んだ指揮者だと思います。萩原君もみんなに優しくあろうと気を使いすぎて、鬱憤が溜まらないか時々心配になることもありますが、まあ、打ち上げなどで饒舌を発揮しバランスを取っているのかな?
この次のカルメン本公演でも指揮してもらうことになるでしょうが、注文するとしたら、やはりスコアと台本を読み込み直して、ビゼーのスコアに書き遺された真意をもう一度考え、そして今いるメンバーでどう表現するか一緒に考えましょう。

オケの皆さんに、今回は少しだけアドバイスできました。
とてもいいオケになってきたと思います。課題として、楽譜を深く読み込むことは今書いた通りですが、指揮者と一体になって音楽を感じきれるように、萩原君と今後も頑張ってください。カルメンの音楽が、もっともっと活き活きと表情豊かになるでしょう。

carmen

岡崎さんのカルメン、彼女の努力と成長に皆も刺激を受けただろうね。高い声への恐怖心が薄らぎあれだけの歌が歌えるようになったことは、出演者にもお客様にも大きな励ましとなったことでしょう。元気な盲導犬リーアムもどんな気持ちで舞台にいたのか、聞いてみたいですね。

武藤さんの様々な葛藤、皆さんも感じていたことでしょう。レッスンでは当然ながらきつい言葉も浴びせましたが、きっと奮起して来年に向かって来ることでしょう。発声を鍛え直すことによって彼女の演技するあの気迫を活かせることは明らかです、僕としっかり頑張ってやってゆきましょう。

もう一人のカルメンの梶谷さんは、次は裏方に回りたいと打ち上げで言っていましたが、彼女の発声のよさがやっと活かされかけて歌えたのに、もったいない限りです。とにかく、歌い続けてください。

目が不自由な鈴木鈴子さんは、ナレーションでしたが、どんな気持ちで語っていたのかお聞きしたいですね。愛する盲導犬アテネとの共演もそろそろーーーー、と思うと寂しい限りです。人との別れもそうでしょうが、盲導犬との別れは何か特別なものがあるのでは、と勝手に思っています。アテネに僕の気持ちも伝えられたら、お願いします。

藤田さんもお目が不自由でいらっしゃいますが、あまり練習には出られなかったのは残念でしたね。他の出演者たちがびりびりと気合を入れる中、そっと舞台に立たれていて楽しそうに歌っていらっしゃいました。どんな気持ちだったでしょう?他のみんなとはまた別の気持ちでいらっしゃったに違いないと思うのですが。

ミカエラの篠原さんは体調のことで大変だったようですが本番でベストになり、よかったね。体調のことでは、不安を抱えた人も多かったと思いますが、それぞれに出来る範囲で乗り越えてゆきましょう。チラシやパンフレットを作ってもらいましたが、なかなかの出来で見事でした、有難うございます。
娘の亜実さんのバレエ姿も美しかったですね。歌もこれから頑張ってください。

福間君のホセはみんなも讃嘆している通りです。わずかな個人レッスンもしっかり活かして、どんどん良くなりました。どこまでも謙虚な姿勢も皆に好感を持たれていましたね。来年の更なる成長をみんなで期待しています。

魔女とダンカイロの今井さんは、いつもながら本当に全力投球で、みんなもいい刺激を受け続けていたことでしょう。諸事情があるのは誰も同じことかも知れませんが、舞台を愛する者として、これからも何らかの形でみんなと一緒に歩んでください。

三輪君のレメンダード。やはり成長したね、周りのみんなも微笑ましくエールを送っていたように思います。努力の継続は力、ともう一度言いたくなります。

中島君のエスカメーリョ。体力などで不安を抱えていましたが、やればできる、という経験をしたのではないかな?経験させられた?みんなにも誉められ、とにかく成長したね。何度も言うように、いい声を持っていて、本当に頑張ってほしい。実は彼の声域は僕とほとんど同じなのです、どう使いこなせるか、みんなで応援しましょう。

事務局次長として広瀬さんを支え続けた?何でもできる器用な宇高君。声も安定してきた観があります。事情は変わったかもしれませんが、その目立ちたがりを活かして、更なる総合的な成長を期待しています。でも、無理が続いて体を壊さないようにね。

ヘングレでペーターを再チャレンジされた田辺さん。立ち方や表情が自然になり、声が安定して来たのは本人に申し上げた通りですが、ふとした時に緊張の糸が切れてしまって思わぬことになるのは、プロにもあることです。だからこそ、精いっぱいの努力を積み重ねましょう。

グレーテルの二人。佐竹真生子、倉橋知津子。それぞれプレッシャーも大きかったと思いますが、対照的なキャラクターで可愛く歌ってくれました。もっと指導できたらと思うこともありましたが、数多くの演出助手たちのアドバイスであの演技。良かったように思います。これからどんなふうに成長して来るのか、楽しみですね。

露の精とフラスキータで頑張っていた小山さん。本当によく頑張っていました。可愛い御嬢さんとの共演もよかったですね。性格はお父さん似?

岡本浩子さんもメルセデスで再登場。勝負はこれからですね。

山下貴美さん、おめでとうございます。何となく感じてはいましたが、心からお祝い申し上げます。折角発声が出来てきたのにもったいなくて仕方ありません。
訓練だけは少しでも続けてくださり、また戻って来てください、早くね。

山下恵子さんは、ちょっと飛んでる感じの方で面白い人だな、と思っていました。これからしっかり力もつけて、どんどん羽ばたいてください。

前述しましたが、眠りの精の横尾百香と綾乃はさすが、継続した努力のたまもの。それぞれに輝きだしたのが誰の目にも明らかだったでしょう。今までも沢山の子供たちが参加し巣立ってゆきましたが、この二人のこれから、楽しみなのは私だけではないでしょう。

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岡山グリークラブの若者たちが表に裏に今回も活躍してくれました。これからもよろしくね。

そして、あの子供合唱のみんな。カルメンで登場した時の様子は、お客様の誰もがビックリされたでしょう。やはり、元気が一番!この中にもいろいろなキャラクターがあって、面白くてずっと見つめて居たくなりました。人間いろいろ、それがいい、ですね。

また、バレエにいつものフミコバレエ・アートの皆さん。クラッシックバレエの美しさを今回もしっかり見せてくださいました。振付の苦水史子さんのセンスのよさも光っていました。来年の本番では、カルメンの深い本質に迫るべく、じっくりご相談したいと願っています。

練習ピアニストの岡本直美さん、今回もご苦労様でした。いい伴奏者になられましたね、有難うございます。
裏方では、石井さんが頑張ってくれていましたね。
そういえば、折本さんが練習時、大量にお昼をご用意くださったことにはビックリしました。体調をゆっくり少しでも戻され、早く戻って来てくださいね。みんなが待っています。

愛媛から助っ人で同行してくれた吉井さんも、さりげなく藤田さんに寄り添ってくれたり、発声のアドバイスを手伝ったり、ご苦労様でした。

こうして書いてくると、改めて思います。広瀬さんの周りにこれだけの人たちが集まり、立派なオペラ団に成長しましたね。

これからすぐに、来年1月11日のカルメン本公演に立ち向かいます。当会がやるなら、今まで公演されていたような通常のカルメンではなく、世界への熱いメッセージを投げかけられるカルメンにしましょう。

さあ、あと9か月でカルメン本公演、待ったなし!

 

 2014年 3月14日

  石多エドワード