エドワード親書 2017年3月号

フィガロの結婚 岡山公演を終えて

皆さん、お疲れ様!
現代歌舞伎風ハチャメチャホームコメディーオペラ、とでも呼びたくなるような楽しい公演でした。
新旧メンバー入り乱れての共演でしたが、みんないい刺激になったのではないでしょうか?

フィガロの結婚

偉大なお殿様の今井勉は体調も大変だったと思いますが、いつもながらの今井節で楽しく有り余るアドリブを交えながら演じきってくれました。

お優しい奥様の保坂江利子は、もう絶好調で、あの吉本顔負けの演技は岡山メンバーのみならず、長崎や愛媛から来たメンバーにも大いに刺激になったことでしょう。

天才フィガロの宇高賢は、相変わらずのフル回転で舞台を取り仕切りながら、フィガロは本来バスの声域なので彼にはきつかったと思いますが、よく頑張っていました。

愛しのスザンナの高原 萌は、今までで最年少。そんなことを感じさせずに声もよく伸び演技も楽しくやっていました。これからが楽しみでなりません。

プレイケルビーノには高橋祥子。少年ぽく演技することの難しさを感じ取っていたかと思います。しかし、毎回の努力が実を結び、少年ぽく歌い演じられるようになってきてくれて嬉しかったです。

威張りバルトロには田辺真一。不安を乗り越えて、僕のイメージに徐々に近づいてきてくれ、さすが、と思って見ていました。まだまだ十分歌い演じられます、頑張ってください。

マルマルチェリーナには武藤美鶴。演技が大好きなので、後は、体を柔らかくしたまま歌い演じられるようにすることだね。

グランマルチェには岡崎起恵子。やはり演技大好き人間で、武藤とも楽しく共演できたかな?声もずいぶん出るようになったので、これからも発声の精進を続けてください。

バジリオ気取りには、いま東奔西走中の福間隆雄。イメージチェンジが必要でしたが、なんなくこのキャラクターを掴んでくれていましたね。声もさすがによく伸びてきていたので、後は、あらゆる母音を安定して響かせられるようにしましょう。

アントニオビールには折元純子。見込んだ通り、思い切ったアントニオビールを演じてくれました。歌も演技もお客様に大いに楽しんでいただけたことでしょう。

バルバリーナッコには薮内彩菜。演技力もあり、声もよく伸びるのでぴったりでした。発声を本番前にもう少し見てあげられたらと少し悔やんでいます。次回チャレンジ!

ドキドキクルツィオには梶谷淳子。どどもりクルツィオから今回ちょっとアレンジしましたが、それなりにドキドキ演じてくれて楽しかったです。いつも可能性は無限にある、ってことかな。

花娘1には篠原加代子。印刷物製作から直前の衣装製作まで、本当にご苦労様でした。動きも若々しくできてよかった。
同じく花娘2に宮本萌花。高校生ですが、舞台が好きなのがよく伝わってきました。これからも頑張れ!

フィガロの結婚

合唱には、愛媛からの吉井が藤田千代美と組んで手伝ってくれました。
吉信裕子の素敵な笑顔も印象的でした。篠原義喜も今回また何か舞台から感じたのではないかな?景山美香と坪井達也もご苦労様でした。

児童合唱のみんなは、もう、可愛い!の一言。エドちゃんともどんどん親しくなってきて、一人一人の顔が今も浮かんできていますーーーー。これからも伸び伸びと育っていってくれると思います。僕も何かそのお手伝いになるといいな。

フミコバレエの矢野愛奈と中藤夕歌は、今回もオペラに参加してくれて舞台に花を添え、ホントによかった。
苦水史子の振り付けも僕のイメージ通りで嬉しかったです。

練習ピアノで参加してくれている岡本直美。大変だったことでしょう。無理はしなくていいけど、出来るだけ手伝ってくださいね。

萩原勇一率いるオーケストラ。練習開始当初は心配しましたが、本番まで少しずつまとまってくるのを感じていました。おそらく、練習では難しい問題もあったことと思いますが、萩原君が粘り強く引っ張っていって、ここまで来れたのでしょう。皆さんご苦労様でした。

我らが事務局長の広瀬千加子。本番前になるといろんなことが重なって起こり、いつもながら体調を心配してしまいます。オペラプラザ岡山は、この広瀬千加子があって初めて成り立つのです。皆も分かってると思うけど、これからも岡山らしくみんながさり気なく協力し合って、このユニバーサルデザインオペラを発信してゆきましょう。

フィガロの結婚

さて、今回の公演全体を振り返って。
この「フィガロの結婚」をどう演出したいか、みんなはかなりわかってくれていると思うけど、少しだけ。

西欧が生み出した古典オペラは、それぞれに輝いていると思います。
ただ、僕の主な興味は、クラシック音楽の凄さもさることながら、お客様に何を感じてほしいか、にあります。
観たお客様に喜んでもらいたいのは、誰もに共通した当たり前のものでしょうが、どんなふうに「よかった。」と思ってほしいか考えたことはありますか?
「面白かった」「歌がきれいでよく通っていた」「話が分かりやすくなってた」「出演者がうまかった、可愛かった」「舞台や衣装が簡潔でよかった」「オーケストラの音が素敵だった」「やっぱりモーツアルトの音楽は最高だ」
こんな誉め言葉が想像できますね。

でももし、「愚かな人間だけど、やっぱりお互い許し合おう」とお客様が心から思ってくださったら、モーツアルトもさらに喜ぶのではないかな?作曲する時には、何をテーマにしてどんな音楽に作曲してゆこうか、と考えるのが普通だけど、歌っているみんなは何を思いながら練習に参加し、舞台に立ってる?
歌や演技を磨くのはお客様に喜んでもらえるように、であることは勿論だけど、原作のボーマルシェ、台本を書いたダ・ポンテ、作曲したモーツアルト、彼らが何を狙って作ったかも考えておきませんか?それに歌舞伎風ホームコメディにアレンジした私の意図はお分かりだろうけど。
みんなもたまにはこんなことを考えてみるのもいいのかな。

それはともかく、今回の岡山ハチャメチャフィガロ、本当に楽しかった、みんなありがとう!
春が近づきました。景色も春を歌っているようです。私たちも新たにまた素敵な歌を歌いだしましょう。


2017年3月17日

 石多 エドワード