エドワード親書 2020年2月号

忘れられた少年 宮崎巡演

今回の宮崎は知人が全くいないところでの巡演でした。しかし、お客様があんなに集中して見入って聞き入ってくださったことは嬉しい驚きでした。
出演者の気合が相当なものになってきたこと、これが大きいのでしょうかーーー。


さて、その出演者たち:
ときゆく者の石多加代子は足を痛めていたにもかかわらず、今迄でも最高の出来で、美しい声が会場中に響き渡ってゆくのが、お客様だけではなく出演者にも安らぎで包み込んでくれたようでした。その上、マネージャーとして活き活きと皆を引っ張ってくれてありがとうございます。

4少年も各地から集まったのに練習不足などまったく感じさせず、いいアンサンブルでした。皆を引っ張るマルチノ吉井の声も爽やかでしたし、マンショの徳永も彼女にとって難しい声域を上手くコントロールして声がよく伸びてきていました。ミゲルの岩永朋子も今回はいつもより気合がみなぎってるようで嬉しかったです。ジュリアンの原田恭子もハイソプラノなのに低い声をしっかり出してアンサンブルを支えてくれました。ベルナルドの前のシーンでする4人の会話も楽しかったよ。

大人の使節役もみんなよくやってくれました。
伊東マンショの國元隆生は、今回更なる工夫もしながら演じてくれました。あのアリアも見事に安定していて、作曲者も満足していることでしょうーーー。フィリップ二世のスペイン語も面白かったです。
原マルチノの廣田修も何度目でしょうか、この役を段々自分のものにして来ている感じがしました。喉の硬さも少しほぐれて高音が奇麗に響くようになってきましたね。忍室役もこなれてきました。舞台監督はいつもご苦労様です。
千々石ミゲルの山口陽子はポーランド以来かな。役になり切る集中力は今までも感じていましたが今回も山口陽子のミゲル、をお客様にじっくり印象付けたように思います。
中浦ジュリアンの石多エドワード。ポーランド巡演から帰国して調布教会でああなった時は、いよいよ最後が近づいたかと思ったりしましたが、今回あれだけ歌い演じられたのはまさに奇跡。皆さんもそう思いませんでしたか?神様はもう少し歌い続けさせたいのでしょうか?

秀吉と大名ですが、昨年末に忘れられた少年の越谷公演を見に行って、この若い上ノ坊航也君をいいなと思って誘いました。殆どぶっつけ本番だったのですが、コーラスまでもさすが頑張ってよく覚えてくれました。人柄がよくて、皆とも仲良くやってる様子が微笑ましたっかです。名古屋に行くそうだけど、また一緒にやりたいね。

ヴァリニャーノの岩永一也。コーラスでも持ち前のいい声を出していましたが、発声について更なる精進を。プロ歌手も羨むいい歌い手になれると思います。廣田との名コンビで舞台を作ってゆくのはもうお手の物になってきたね。さっき書き忘れましたが、吉井や徳永も子分?にして舞台づくりの中心となるいいチームが出来てきたように感じています。

初日のベルナルドに急遽抜擢の菅原真美子。サスガに安定したメゾの声でした。演技も歌唱もますます磨きをかけて当会のオペラの真髄に近づいて来てください。
もう一人の秦美智世は、愛媛から二人の子を車に乗せて睡眠2〜3時間の日帰りという大変なスケジュールの中、よく頑張りました。福岡正信さんのところからお化け大根のお土産まで持ってきてくれてアリガトウ。吉井や山口と同様研修生ですので、三人ともこれから遠慮なく更に鍛えてゆきたいと思っています。

愛媛の歌い踊れヤーズの一人、おんなを歌った兵藤好美。いつもながらの可愛い笑顔がいつもカワイイね。歌い踊れヤーズってご存知ですか?秦美智世、吉井美幸、兵藤好美の三人ですよ。

ついでながら、博多マドンナーズは、原田恭子、藤沢美保、桑原千恵子の三人。浪花レイディーズは、大島佳子、岸本良枝、越知紀子。長崎だけは何故か悪党三人組で山口陽子、廣田修、岩永一也です。すべて名付け親は僕ですがネーミングの心は聞かないでください。何となく分かるでしょ?

脱線しましたが、
東京から田村多佳子が町の上。安定した発声ですが今回はひと工夫しようと頑張っていたように思います。でもあまり細かい演技指導が出来ず済まなかったね。

ヤジローの日野秀一もすっかりみんなに溶け込み、今回もヤジローの役になり切って頑張っていました。自由だった音程も定まってきてよかったね。

仏僧の相良伸介。全力で役にはまり込んでくれるのがいつもながら嬉しい。本当にお芝居が好きで天性のいい役者ですね。
皆さんご存知ですか?テクニックの引き出しに頼る上手い役者はいくらでもいます。でもいい役者となると数が減ります。ホントにいい役者、となると素晴らしいですね。それを相良君には期待しています。
淀君の中牟田峰子も、通訳の山下康子も、大柄なスペイン女性の川口優子も、密告する坂田直子も、みんなそれぞれの役をしっかりこなしてくれました。

合唱では、遠く青森から来てくれた佐藤佳子。このオペラに20年以上前から参加してくれていますが、ご苦労様です。平沼多枝子もきれいな声を持っていて、名古屋からオペラプラザ東京に入って頑張ってくれています。
子ども?も参加してくれました。宇都宮彩那は発声を掴んで来てるのでこれから楽しみです。徳永莉央も伸び伸びしてましたね。秦美代子も響きを覚えて来てるので大きく成長してほしいものです。秦雄路も不安でしたが自分の役割をしっかり意識してくれてたのでよかったです。

長崎からはるばる映像を担当しに来てくれた岸本由貴。何より内容が分かっているのでよかったよ、ありがとう。

野崎真琴のエレクトーン。現場でも話しましたが、長年付き合ってると僕の音楽をよく理解してくれてるので、不安がほとんどなく任せられ助かります。やっと当会への恩返しができて来てるのかな?


最後に、冒頭に書きましたが、私を含め出演者全員が見知らぬところで、あれだけ観衆が集中してみてくれて、あの感動は驚きでした。
持参した忘れられた少年の楽譜は完売し、私のエッセイ集も14冊売れたそうです。今までにないことですね。ちょっと不思議な感じです。
これからも積極的に売って行きましょう。

書き忘れていましたが、30年前に同じ日南市民センターでの公演を見て下さった方が二人いらっしゃり、また見に来てくださったことも嬉しかったですね。
呼んでくださった日南市の教育委員会の皆さんもケータリングを含めいろいろなご協力を頂きました。感謝します。次は中学生に見せたり、市民参加でしませんかと話しておきました。
突然申し込んだカトリック宮崎教会公演では、吉田繁神父様、平手様、信徒会長の皆さんが、あらゆることをしてくださり、感謝に耐えません。神父様は、公演後に「こんなに奥深い内容だとは思わなかった」と会衆に仰ってくださったり、後で私にいろいろ話されたのですが、仏僧の言葉が胸に響いたそうです。神父が仏僧の言葉に打たれる、何かいいですね。

これは念の為ですが、あのオペラエッセイ集。参加者の中でまだ読んでいない人はいないでしょうね?あの内容、僕は二度と書くことはないでしょう。あれで十分すぎるほど表現したつもりですから。買っていただいた、見ず知らずの14人の方は何を思うでしょう?

これから、入間で青い鳥、岡山で天空の町の公演があります。
参加されるすべての皆さんと楽しく燃え尽きたいと思います。


   2020年2月4日

 石多エドワード