エドワード親書 2021年5月号


オペラ「忘れられた少年―天正遣欧少年使節」 映画化への第一歩
2021年5月8日 アルカス佐世保無観客公演





この公演で当会が主催共催したものだけで公演回数が153回になった。
150回を超えたことで、映画化する気持ちになったのだが、これからが楽しみ。
大変な苦労があるだろうし、びっくりするようなことも起こるだろう。でも、それ以上に大きな喜び、達成感が待っているように思う。
無観客公演であったため、チケット販売の労力はいらなかったのでスタッフも出演者も少しは気が楽だったかな?
今回J-LODliveから経費の半額だけは頂けるとはいえ、その残りの分は赤字になるので、当然その分の収入がない訳だから出演者や協力者からの寄付に頼らざるを得なかった。
いつも通り?みんな協力してくれるだろう。みんなアリガトウ!

このオペラ「忘れられた少年」については、今回のパンフレットにも書いたし、皆さんにもう多くを語る必要はないかな。
みんなの心の中にある、忘れられた少年、を思い起こして、これからも元気に歩んでくれることが願い。思い返せば僕が40歳の時に書いた台本だが、みんなの心の中に今も息づいていることだろうーーー。


さて、今回は出演者へのメッセージも書き残してみる。

指揮にお呼びした野口剛夫さん。マイペースで自分の音楽観で押し切られたところはさすがでした。
歌手たちも合わせるのに苦労もあったようだけど、楽しい苦労をしたことでしょう。それはともかく、音楽に対する真摯な姿勢をこれからも貫いていただきたいと願っています。


ときゆく者の石多加代子は、途中でマスクを着けたままで出てしまったこと以外は、声もきれいに響き渡り、セリフも見事でした。
感染症対策、衣装、小道具、制作、などなどもこなしながら、体調も崩さずあれだけ歌え、よかったです。

伊東マンショの國元隆生。毎回毎回やはり更によくなってきますね、嬉しいです。
長々とした台詞も大変でしょうが、いい言葉なので気持ちよかったのではないですか?
いつかジュリアン役で出演する日が来るかもしれませんね。山口で如何ですか?

枝川一也は原マルチノ。僕と共演するのはもう何度目でしょう?天空の町でも塩野門之助でご一緒していますが、マルチノとジュリアンの掛け合いもなかなかのものですね。いつも感じているのですが、一緒にやっていてごく自然になっています。それだけではなく、優しいお人柄がみんなを和ませてくれます。

山口陽子は今回もミゲルに挑戦。誰もがチャレンジしたい延髄の役ですが、それだけ大きなプレッシャーもあります。彼(女)らしいミゲルも、繰り返し出演するたびに余計なものが取れて来てるようですね。これからも頑張って成長を続けてください。

秀吉の蔵田雅之が東京から。今回もお見事な歌でしたが、やはり毎回工夫を重ねているのを感じます。今回は一人一役にこだわっていたのでこの一役だけだったのですが、少し物足りなかったでしょうか?
カーテンコールも秀吉の衣装で出てもらえたらよかったのですが、今回は使節たちに焦点を当てたためごめんなさい。他のみんなもそうですがーー。

ベルナルドも東京から名越桃子。もう20年くらいの付き合いですが、今回も変に力まず自然な歌と演技で、いつもながら好感が持てます。人柄、かな?
歌うハーピストになっているようなので、今度それをみんなにも聞かせてください。

少年マンショは岡山から高橋祥子。事情もあり無理をさせないでおきたかったのですが、本人はとにかくしっかり歌って頑張りました。ご主人の門脇さんにはポーランド以来、またまた映像でご活躍頂きました。

少年マルチノは吉井美幸。一人、車で往復する愛媛との往復は大変だったと思いますが、歌っている姿を見て、さすが気力溢れる凛々しい若者と安心しました。褒め過ぎ。しかし、短髪もすっかり似合うようになり、ヘンゼルであれ、ケルビーノであれ、チルチルであれ、いつでも男役が出来ていいね。

徳永博子は少年ミゲル。せっかく長崎にいるのでもっと歌のレッスンしたかった気持ちも残りましたが、あの通りのお芝居好きですから、大いに成長していってくれると信じています。

少年ジュリアンの原田恭子は福岡から。ポーランド以来今回も、少年役は実年齢に近いのでやりやすかったかな?ソプラノなのに一番下を歌わせてしまい、いつも済まないと思っています。まあ、日本の女性歌手はほとんどがソプラノなのです。次はソプラノ役にしてあげられるかな?オペラプラザ福岡の事務局長としてのみならず、今回は感染対策にも衣装づくりにも頑張ってくれました、ありがとう。

大名役を予定していた廣田修は悔しかったでしょう。しかしそれを乗り越え、今回も舞台監督として活躍してくれました。つぎのチャンスを!

ヴァリニャーノは岩永一也。課題の発声は少し良くなってきたかと思います。目立ちたい気持ちが溢れていますが、舞台でも謙虚な気持ちを失わず、周りと一緒に作り上げてゆく気持ちを成長させてください。普段は周りにあんなに優しいのだから。

田村多佳子は東京から町の上で。それなりの年齢になり、マンショの母である町の上の気持ちに自然になれて来たようですね。オペラプラザ東京の事務局長としても頑張ってくれています。

おんなには新人の稲永法子。なかなか面白いキャラクターを持っているようですが、発声を磨けば、搾り上げれば、たたき上げれば、どんどん良くなりそうですね。頑張れ!

ザビエルには東京から遊達人。舞台監督から演出助手、そしてジュリアンのアンダー迄させてしまいました。それこそ幼少のころからの役者です。きっと今回も幸せだったことでしょう。そしてザビエル。深い声を課題にしてありますが、現在ザビエル役では遊がベストかな?

忍室には吉田敬三。大きな体と大きな声、だんだん忍室としてぴったり嵌まってきました。長台詞を覚えるのは大変だと言っていましたが、おそらく相当な努力をされたことでしょう。頑張りました。

ヤジローに山口智。「これ以上、どう全力でやれっていうんですか!」と泣きそうになって言っていましたね。僕から「自分の限界を決めてはいけない、上は無限にあるんだよ、ガンバレ}とだけアドバイスしたのを覚えていますが、直前になってあの変身ぶり。みんなも大拍手を送っていましたね。よかった!!

仏僧の山口龍一郎。仏僧は実に味のある役ですが、山口もどんどんよくなりました。もしかして、本当に役者魂が眠っているのかも知れませんね。役人相手のとぼけ方もよかったし、ジュリアンを説教する時も相手をしていて自然に迫ってくるものがありました。声も大きなものを持っているし、芸人を目指しますか?

淀君には東京から平田絵里子。ピンチヒッターなのですが、本番の淀君の演技は見事でした。
サスガ―――ですね。

ローマ教皇には永江義一。このオペラでは初演の頃からの仲間なのですが、頑張って今回は教皇の役をしてもらいました。体力的にも大変だったかも知れませんが、よく演じきってくれました。

通訳には新人の山田ゆり。初めてで緊張したと思うけどよく頑張ったね。歌はもちろんだけど、これからもいろんなことにチャレンジして素敵に成長してください。

山下康子はスペインでの大柄な老婆に変身してもらいました。まあ、芝居好き、が溢れていましたね。みんなも大笑いしてたでしょう。でも足腰は今大丈夫ですか?

坂田直子はユダというより、ジュリアンの居場所の通報人というイメージで頑張ってもらいました。
これからも気負わず、ゆったりとした気持ちでオペラを楽しんでください。

荒川ひかりは東京から助っ人に。僕が東京で教えられなかった分心配していましたが、大丈夫だったかな?もちろん、だよね?

岩永朋子にはスペインの歓迎の踊りを。今回は少年役ではなくきらびやかな女性の役、ほっとした?

渋川典子はコーラスで初参加。体のこともあり全曲は出られなかったけど、楽しんでくれたかな?
何と、仙人と同じ誕生日だったそうで、カメラマンからツウショットを撮って頂いた。

平沼多枝子も東京から合唱で参加。隠れた面白さを持っていて、これから演技も大いに楽しめそうだね。

三浦綾子は佐賀から合唱で参加。久しぶりの感じもするけど、もう何回目の出演になるのかな?

岸本由貴は、ジュリアンの人相書きから役人に銀百枚で売ろうとする役を、山下康子と組んでやってもらいました。発声もいい感じになりそうなので頑張ってね。

谷野のどか、は東京から久しぶりに。荒川ひかり同様大きな声を持っているのだが、個人レッスンをしてあげられなかったことが残念だった。でも、子どもたちと仲良くやってくれて微笑ましく、また嬉しかったです。

廣田結希は、歌以外でも演出助手っぽいことを率先してやってもらいました。もうこのオペラではヴェテランだね。

松山弥生、もだんだんオペラに慣れて来たように見えましたが、どうだったかな?

渋川君子。坂田直子や永江義一と同じくオペラプラザ長崎の創立メンバーの一人です。長崎発会公演の「フィガロの結婚」ではケルビーノをやっていました、懐かしいーー。

寺村れいかは五島から。何回目かの出演ですが、初めの頃は少年使節役もやりましたね。今回はポルトガルダンスにも参加してもらいました。来てくれて嬉しかったよ。

中学生の頃から可愛がってきた林茜。今回は息子の蒼仁を連れて親子共演。茜は学生時代オペラプラザ岡山でも活躍しましたが、今回残念ながら参加できなくなった双子姉妹の梓とともにずっと参加してきました。もう何回一緒に出ただろうねーー?

松尾悦子は初参加でドキドキでしたが、熱心でみんなから心配されながらも愛され支え続けてもらいよかった。

日野秀一はこの半年くらいで急成長。演技も極めだしたし、音感もしっかりして来て楽しみでならない。

廣田勉も初参加。しかし、どんどんいいい声になってきたし、素晴らしい戦力になって来るだろうと期待している。

東京から来たTamakoには、小坊主やポルトガルの踊りなどで大活躍。あまりの自由奔放さに言葉もない。お爺さんの顔が見たいくらいだ。

石多柚葉も東京から。マリア、というみんなのあこがれの役をやってもらった。ぴったりだったと思います。これからはこの役、少女たちの取り合いになるかなーーー?ポルトガルの歓迎シーンでもTamakoとピッタリ息の合ったコンビで踊ってたね。

道下茉莉子も妹とともに初参加。歌声も素直だしお芝居にもどんどん入って来て、微笑ましく見ていました。これからも楽しくやって行こうね。

栗石優は大阪から特別参加のアコーディオン演奏。ポルトガルの歓迎シーンで楽しく演奏してもらった。子供たちとも楽しんで演奏する姿がとても暖かかった。こちらに来て少しリフレッシュできたようです。


野中真由美はいつもの練習ピアノだけではなく、エレクトーンで篠笛やヴィブラホンをオケボックスに入って演奏してもらった。初めはオケボックスの中で一人緊張したかも知れないが、持ち前の性格で溶け込んで行ってくれたことと思う。ご苦労様でした。

オーケストラは、19の学生時代から一緒にやってきた廣末真也率いる、コンセール・エクラタン福岡。若いメンバーたちだったが、細かいミスがあったものの全体にサスガ見事に演奏してくれた。歌手たちも大満足だったね。驚いたことに彼らは作曲者の柴田南雄のことも知らなかったようだけど、このオペラを好きになってくれたかな?

実は他にも匿名希望者で代役など大活躍してくれた者もいるし、各地から10名くらいのものが今回のコロナ狂騒曲で参加できなくなってしまい残念だったが、やがてこの狂騒曲も収まって来るだろう。来年を目標にしている撮影時には、また録音や撮影をすることになるかと思う。一緒に参加してください、今度こそ!

照明はEarth Station。監督の細かい指示を快く対応してくれ、とてもいい照明が出来た。ありがとう!

会場の音響などはStage 249がきめ細かく誠実に対応してくれた。

映像制作はカイチデジタルサービス。30分のPR映像にしてくれる。出来上がりをお楽しみに。やがて世界各地にも発信するが、出来上がったら波佐見町でも焼き物交流館で一か月間流し続けるそうだ。

同時配信には株式会社Crehaga担当してくれた。据え置きのカメラだったのだが、いろいろ工夫して撮影してくださったので、とてもいいものが残った。

記録写真撮影には、長崎県の鹿町でミュージカル「アナテフカ物語」公演で僕から「村長」と名付けられた吉浦正利にまたも白羽の矢を立てモノクロですが撮影してもらった。

当会グループを事務面で支えてくださっている大島には、感謝の言葉もありません。これ以上は言いますまいーーー。

僕自身のことについては、体調で心配をかけ続けてしまって恐縮している。コロナにはかからなかったのだが、何しろ結節性多発動脈炎と医学会から名付けられた国指定の難病らしい。しかし大好きな自然農法の福岡正信さんは病気などないんじゃ、と仰っていたし、僕も薬などから一日も早く解放され、早く自由になって各地を回り教えたり歌ったりしたい。ステージではまたしても天から力が降り注いであれだけ歌い演じられたし、もちろん、まだまだこの世界から飛んで行かない。みんな、これからも仲良くやってゆきましょう。
僕にはもう既にその風景が見えてきた。皆さんも見えるかな?


   2021年5月12日

 石多エドワード