柴田南雄/作曲  石多エドワード/台本
オペラ「忘れられた少年−天正遣欧少年使節」



 

 「日本とヨ−ロッパの国際交流を最初に成し遂げたのは誰でしょう?」と聞かれて、「天正遣欧少年使節」と答えられる日本人は、まだまだ少ないのではないでしょうか?
 日本とヨ−ロッパとの初めての国際交流、という大変な偉業を成し遂げた天正遣欧少年使節。それにも拘らず、キリスト教の話だからと少し敬遠されていた向きもあるようでした。
 しかし、若者が夢を見失い、暗いニュ−スばかりがマスコミで取り沙汰される今、大きな夢を抱いて旅だった天正少年使節がクロ−ズアップされるべきではないでしょうか?
 禁教令の為、突如逆境に追い込まれた彼らが、それぞれその逆境をそれぞれのやり方でどう乗り越えようとしたかを歌いあげるオペラです。現代の私たちが置かれている実情と重なり合い、私たち現代に生きるものを勇気づけずにおかないでしょう。

 1996年に他界された、日本を代表する作曲家=柴田南雄の最後の大作オペラで、台本は東京オペラ協会芸術監督の石多エドワードが担当、日本から世界へのメッセージをこめて完成させたものです。東京オペラ協会の代表作品ともいえるこの作品は、日本各地はもとより、アジア・ヨーロッパ各国で100回の公演を行っています。

■作曲の柴田南雄さんからのメッセージ■  ■「忘れられた少年」100回公演の軌跡■

 

      

 

■登場人物

  天正遣欧少年使節[伊東マンショ 千々石ミゲル 原マルチノ 中浦ジュリアン]
  ザビエル 大村純忠 巡察師ヴァリニャーノ フィリップ 世 ローマ法王  
  ときゆく者 マリア 忍室 仏僧 おんな

■あらすじは

 荒涼とした小高い丘に墓標が散らばっている。そこに時空を超えて宇宙を旅する『ときゆく者』が登場し、墓標達を蘇らせ物語が始まる。

 ザビエルの教えを引き継いだ少年達が回りの人々の反対を押し切って、日本からの初めての使節として長崎の港を船出しヨ−ロッパに渡り大歓迎を受ける。しかし8年半の青春の全てをかけた大旅行ののち、長崎に帰国すると豊臣秀吉によりキリシタン禁教令が敷かれており、4人は突如逆境に立たされる。

    伊東マンショは過労によりまだ若くして長崎で病死。
    原マルチノはマカオに追放され一人寂しく客死。
    千々石ミゲルは悩み抜いて棄教。
    中浦ジュリアンは長崎の西坂で壮絶な殉教。

 その少年達がどう自分の人生を切り開いていったか、また挫折せざるを得なかったかを史実にそって描かれる。

 最後に再び『ときゆく者』が現れ、それぞれの人生を自分なりに見事に生き切った若者たちに、私たち現代人をだぶらせながら、人間を優しく賛歌して、また宇宙の彼方に去ってゆく。フィナ−レでは、再び眠りについた墓標郡が、永遠回帰を表わすようにまた起き上がり、オペラのテ−マソングである『陽は昇り、陽は沈む』を大合唱して幕となる。

■音楽は

 古今東西の音楽を巧みに融合させながら、柴田南雄の色彩がいっぱいに広がっている非常に分かりやすい曲です。
 その上、長崎県の口之津町の手まり唄や三和町の蚊焼きの子守歌がこのオペラの非常に重要な曲して取り入れられております。
 また、ポルトガル映画「アジアの瞳」(ジョアン・マリオ・グリロ監督 ジェラルディン・チャップリン主演)に、石多エドワード及び東京オペラ協会の歌手が このオペラで出演しました。


 
■作曲の柴田南雄さんからのメッセージ■  ■「忘れられた少年」100回公演の軌跡■